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多様性を認め合う アメラジアンスクール@沖縄

居場所のない子が集まってきたフリースクールから、共生社会への日本の課題を考える

岩崎賢一 朝日新聞記者

「すごく明るくて、家族みたい。先輩後輩もないし」

 中学生の「公民」の授業を見学させてもらった。アメリカの教科書を使い、連邦議会や大統領の制度を英語でディスカッションしながら学んでいた。

 授業の8割は英語で、2割が日本語だ。この2割で、日本語や日本の社会科を学ぶ。

 中学3年生の、シャーベル・ケイリー・知花さん(15)と新城・ノエル・美南海さん(15)に話を聞いた。

 ケイリーさんはこの学校について「すごく明るくて、家族みたい。先輩後輩もないし」と居心地の良さを強調する。ノエルさんは「生徒がやることが多い」という特徴を上げた。ノエルさんに何のことかと尋ねると、「ランチセールやフリーマーケットに参加して資金を集めました」と、取材直前にあった中学3年生の修学旅行の話をしてくれた。

 大阪と京都への2泊3日の旅行だが、離島のため交通費がかさむ。そもそもフリースクールのために保護者は毎月3万1000円ほどの学費を負担している。校長のウィリアムス・トランパスさんによると、ひとり親も多く、生活困窮世帯に対する減免措置を受ける生徒も多いという。修学旅行資金集めは、経済的負担を軽くするためだ。

拡大右から、ケイリーさん、ノエルさん、小嶺さん=沖縄県宜野湾市のアメラジアンスクール・イン・オキナワ

「ここの生徒は、日本人か、アメリカ人かでそんなに悩まない」

 2人に、日本人とアメリカ人の両親を持つこと、両国の文化を学ぶことについて質問してみた。

 ケイリーさんは、こう話してくれた。

 「東京の私立小学校の交流があります。日本の人は、基地も戦争もほとんどの人が反対。私たち(アメラジアンスクールの生徒)は、日本とアメリカの両方の文化を知っています。改めて思うのは、両方から学ぶことで本当の歴史を知った方がいいということです」

 この学校では、外部教師を招き、日本の歴史も教えており、その学習効果なのかもしれない。

拡大公共施設を借りたスクールの廊下は、図書館代わりだ=沖縄県宜野湾市のアメラジアンスクール・イン・オキナワ

 ノエルさんには、アイデンティティーについて尋ねると、こう話してくれた。

 「ここにいると、周りの人たちも多様な背景を持っているので、何も言われることはありません」

 「たまに、日本の高校に見学に行くと、『ハーフでうらやましいな』と言われますけど、やっぱり人間としては一緒なのではないかと思います」

 ウィリアムスさんは、「日本の公立学校に行くと、『私は日本人? アメリカ人? どっち』と悩んでしまいます。ここに来ている生徒は、私が日本人か、アメリカ人か、なんてそんなに感じないのではないでしょうか」と話す。

 日本人がよく使う「ハーフ」という言葉についても、この学校では「ダブル」という言い方をしている。つまり「日本人50%、アメリカ人50%」の「ハーフ」ではなく、「100%のアメリカ人と、100%の日本人」の「ダブル」であるという考え方だ。ウィリアムさんは「両方の文化を理解し、その場に応じてそれぞれのやり方ができるように教えています」という。

拡大車で5分ほど走ったところにある公共施設の体育室を借りてのスポーツの授業=アメラジアンスクール・イン・オキナワ

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筆者

岩崎賢一

岩崎賢一(いわさき けんいち) 朝日新聞記者

1990年朝日新聞社入社。くらし編集部、政治部、社会部、生活部、医療グループ、科学医療部などで医療や暮らしを中心に様々なテーマを生活者の視点から取材。テレビ局ディレクター、アピタル編集、連載「患者を生きる」担当を経て、現在はオピニオン編集部で「論座」編集を担当。『プロメテウスの罠~病院、奮戦す』『地域医療ビジョン/地域医療計画ガイドライン』(分担執筆)。 withnewsにも執筆中。

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