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アジア留学生獲得、日本は中国に「自由」で対抗を

理工系留学生を取り合う日中。日本の大学は学問・言論の自由をもっと発信すべきだ

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

ベトナム人留学生が増えた理由

 なぜ、ベトナム人留学生が増えたのか。

 各大学が個別にベトナムとの関係を深めてきたことが大きいが、何よりベトナムは経済成長の最中にあり、進出している日本企業に就職を希望する若者が多い。反中感情もあって、中国より日本への留学ブームが起きているのだ。

 例えば、豊橋技術科学大学は2016年にベトナム国立土木大学などと交流協定を結んで25人の留学生を受け入れた。同じように金沢大学は66人、長岡技術科学大学は106人、立命館アジア太平洋大学は406人を受け入れた。

拡大長岡技術科学大学で研究室を見学するベトナム人学生たち=同大学のHPより

 初めの2年~2年半は現地の大学で専門学科と日本語を学び、後の2年間を日本の大学で授業を受ける。大学は、学生募集のために現地事務所を開き、専門職員を雇ってリクルートに力を入れている。

 大半の留学生は卒業後、在留資格を切り替えて日本企業に就職するか、母国に戻って日系企業に就職する道を選ぶ。人材不足の企業、特に中小企業にとってはありがたい話だ。

 日本の18歳人口、すなわち大学に入学する若者の数は、2018年以降、減少期に入った。1992年は205万人だったが、2017年は120万人になり、29年には106万3000人に半減する。

 人口減少に対応できない大学は、収支が悪化して存立が難しくなる。その苦しい懐事情が、大学を新たな収益源である留学生獲得に走らせているのだ。

中国への留学ベスト3は韓国、タイ、パキスタン

 一方の中国は、「2020年50万人」という「留学中国計画」に沿って、想定以上の速さで留学生を増やしている。教育部(省)の資料では、2017年の外国人留学生総数は49万人に達し、すでに日本の1.8倍だ。

 国別では、1位韓国、2位タイ、3位パキスタン。下位にはインドネシア、カザフスタン、ラオスも入り、「一帯一路」の国々の出身者が全体の65%を占める。将来の親中派の人材を今から抜かりなく育てている。

 例えば、理工系が強い清華大学には約3500人の留学生がいる。AIやビッグデータ分野では、同大学を含む中国勢が米国と先頭争いをしている。日本もこの分野に力を入れており、日中が理工系留学生の獲得を競い合う形になっている。

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筆者

木代泰之

木代泰之(きしろ・やすゆき) 経済・科学ジャーナリスト

経済・科学ジャーナリスト。東京大学工学部航空学科卒。NECで技術者として勤務の後、朝日新聞社に入社。主に経済記者として財務省、経済産業省、電力・石油、証券業界などを取材。現在は多様な業種の企業人や研究者らと組織する「イノベーション実践研究会」座長として、技術革新、経営刷新、政策展開について研究提言活動を続けている。著書に「自民党税制調査会」、「500兆円の奢り」(共著)など。

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