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多様性を認め合う 5宗教共存の幼稚園@つくば

宗教的背景が違う人々との共存を、外国人が多く暮らすつくば市の幼稚園を舞台に考えた

岩崎賢一 朝日新聞記者

「日本は宗教ハラスメントがない」

 桜南幼稚園に通う母親、チュニジア人のウェスラティ・カウラさんは7年前、筑波大学で研究する夫のもとに来た。桜南幼稚園に通う長女(5)と長男(1)がいる。

 「日本に来ることへの心配は、全然ありませんでした。日本は宗教ハラスメントが心配なかった。フランスやアメリカでは、ヒジャブを巻いていると色々言われるでしょ。パリにいる知人は、大学教授だけど、仕事中はヒジャブを外さないといけない。日本はとても自由」

 国によって、ヒジャブの着用に制限を設けているためだ。

 ウェスラティさんが一番困ったのが、食事だった。

 イスラム教では、ブタ肉やお酒が禁じられていることが知られている。しかし、ブタ以外の肉も、イスラムの教えに則った方法でと畜・加工処理されなかった肉は食べられない。豚肉やアルコール、加工処理方法が不明な牛脂などが入った調味料や食材、お菓子も食べない。

 最近は、お店や食材などで「ハラール認証」という言葉を聞くときがある。これは、適正に処理をされた食材である証明のことだ。そのため、ウェスラティさんの長女は、給食でなく、お弁当を持って幼稚園に通う。それでも、お弁当づくりは大きな苦にはなっていない。

「子どもにとって、日本のような安全な国はありません。銃もなく、人さらいもなく、教育レベルがだいたいそろっています。ただ、一つ残念なのは、市役所でも病院でも、もっと英語を話してくれればいいのに、と思います」

拡大ヒジャブといっても、国や地域、宗派によって様々なものがある。写真はインドネシアのもの

「ラマダンなので日が沈むまで食べられない」

 幼稚園側も、最初から宗教的なことにパーフェクトに対応できたわけではない。桜南幼稚園などつくば市内の公立幼稚園では、少しずつ改善が試みられてきた。

 34年のキャリアを持つ園長の宮本さんは、様々な経験やそこから学んだことを紹介してくれた。

 幼稚園の行事で、近くの公園に親子でピクニックに行ったときの話だ。公園で体を動かし、グループごとにお弁当を食べ始めた。そのとき、ムスリムの両親が何も食べていないことに園長らが気付いた。

 尋ねてみると、「ラマダンなので、日が沈むまで食べられないんですよ」という言葉が返ってきた。ピクニックをラマダンの期間に設定していた。

 クリスマスは、「私たちムスリムだから、クリスチャンのお祭りの日は幼稚園を休もう」という家庭が少なくない。一方、ラマダン明けの日は、幼稚園や学校を休んで家族で旅行に出掛ける習慣がある。

 福岡さんも、子どもが幼稚園で一緒に生活する機会を得るまでは、このようなことを詳しく知らなかった。

拡大桜南幼稚園の給食の様子

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筆者

岩崎賢一

岩崎賢一(いわさき けんいち) 朝日新聞記者

1990年朝日新聞社入社。くらし編集部、政治部、社会部、生活部、医療グループ、科学医療部などで医療や暮らしを中心に様々なテーマを生活者の視点から取材。テレビ局ディレクター、アピタル編集、連載「患者を生きる」担当を経て、現在はオピニオン編集部で「論座」編集を担当。『プロメテウスの罠~病院、奮戦す』『地域医療ビジョン/地域医療計画ガイドライン』(分担執筆)。 withnewsにも執筆中。

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