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著作権保護期間「最終20年条項」+α

神様から著作権法を一ヵ所だけ変える力を貰ったら(1)

生貝直人 東洋大学准教授

最終20年条項、日本への導入にあたって

 現在のTPP11では保護期間延長は米国が戻るまでの凍結事項とされているものの、近く発効する日EU経済連携協定にも保護期間延長が含まれていますので、延長してしまった保護期間をもう一度短縮することは、今後極めて困難です。 

 しかし、ここで紹介した米国型の最終20年条項は、あくまで保護期間は延長したままで、部分的な権利制限規定を導入する形式ですから、それらの国際協定に矛盾することもありません。すでに米国も導入している内容ですから、ベルヌ条約等の著作権条約に抵触することもありません。

 保護期間の延長は全ての著作物に及ぶものですが、著作者の死後50年を経ても商業的に利用されるごく一部の作品を除けば、大部分はインターネットで公開しても、まさに誰も損をしない、ただただ社会全体の利益を増大させるものです。せめて日本でも、このくらいの条項は、1日も早く導入してほしい。

 これが第一の「非常に控えめな」私の提案です。

 日本での導入を考えた場合、具体的には著作権法31条に「4項」を新しく設けて、同条の適用を受ける「図書館等」は、保護期間最終20年に入った「絶版等資料」を、デジタルアーカイブとしてインターネット公開することを認める方式が最もシンプルだと思います。すでに絶版等資料に関しては、同条31条3項に基づいて、国立国会図書館が全国の図書館等へのデジタル送信を行なっており、絶版の判断などはそれを準用できそうです。

 なお31条の適用を受ける「図書館等」は、公立・大学図書館のみには限られず、著作権法施行令1条の3により、法令で設置された各種施設等が含まれ、特に2015年には、営利を目的としない法人が設置する博物館を広く含む指定がなされたところです。一点、108条の適用を受ける図書館等を柔軟に規定し、インターネット・アーカイブをも対象とすることができる米国と異なり、日本の施行令1条の3の範囲は限定的で、たとえば青空文庫のような民間のデジタル図書館を含むことは困難です。ただ、これは施行令の見直しで済みますから、さほどハードルは高くない問題だと考えて良いでしょう。

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筆者

生貝直人

生貝直人(いけがい・なおと) 東洋大学准教授

1982年生まれ。2005年慶應義塾大学総合政策学部卒業、2012年東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(社会情報学)。東京大学大学院情報学環客員准教授、東京芸術大学特別研究員等を兼務。国立情報学研究所特任研究員、東京大学附属図書館・大学院情報学環特任講師、情報通信総合研究所研究員等を経て2018年4月より現職。著書に『情報社会と共同規制』等。専門分野は情報政策の国際比較。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです