メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

拡大改革開放40周年の記念式典で貢献者を表彰する習近平国家主席(左)=2018年12月18日、北京の人民大会堂

 中国経済が減速している。1979~2008年の30年間は年平均で9.8%と10%に近い成長を達成したが、2010年代に入ると成長率が低下し、2012年には7.90%と7%台に、さらに2015年には6.90%と6%台に下がってきている。2018年4~6月はさらに6.7%に減速し、7~9月には6.5%まで低下している。6%台の成長は、もちろん、欧米や日本に比べれば高い成長率だが、2010年代には、かつての高度成長から安定成長に移ってきているといえるのだろう。2014年には中国の成長率はインドのそれを下回ることになる(2014年の成長率はインドが7.41%、中国が7.30%)。その後もこの状況は続き、IMFの予測(2018年10月の推計)によると、2018年にはインド7.30%、中国6.60%となっている。

 2018年の中国の人口は14.2億人だが、2015年には14億人に達しており、14億人前後で高止まりしている。そして、中国の人口は2030年をピークに減少に転じ、2050年には13.5億人と現在より7000万人近く減少するとされている。人口減少とともに老齢化も進んでいき、現在の日本と同じような状況になってくるという訳なのだ。

 こうした人口の減少・老齢化もあって、中国経済の成長率は現在の6%台からさらに低下し、ロンドンを本拠地とするコンサルティング会社プライス・ウォーターハウス・クーパーズ(PwC)によると、2015~2050年の中国の実質GDPの年平均成長率は3.4%まで低下するとされている。それでも、先進諸国と比べると3.4%は決して低くはない(この期間のアメリカの年平均成長率は2.4%、日本のそれは1.4%と予測されている)。

 こうした継続的な高い成長率を達成する中国のGDPは、2050年にはPPPベースで58.499兆米ドルに達すると予測され、米国を抜いて世界のナンバー1になるとされているのだ。ちなみに、ナンバー2はインドで44.118兆米ドル、インドは2040年前後にアメリカを抜いてナンバー2になると予測されている。2050年のナンバー4はインドネシア、ナンバー8は日本とされており、アジア諸国のGDPの高さが目立っている。この状況は「リオリエント現象」と呼ばれることもある。世界経済の中心が再びオリエント、つまりアジアに戻ってきているというのだ。

 1820年の世界の実質GDPについてアンガス・マディソン(イギリスの経済学者・経済史の権威、1926~2010年)が試算しているが、その時のナンバー1は中国(2286億米ドル)、ナンバー2はインド(1142億米ドル)だった。中国の実質GDPは西欧合計(1637億米ドル)を上回っていたのだ。つまり、19世紀初めの時点では中国とインドが世界の2大経済大国であり、この状況は時代を遡るとさらに強くなっている。16世紀前後には中国とインドで世界の実質GDPのほぼ7割を占めていると推測されている。この意味で、2050年に中国とインドが世界の2大経済大国になるというのは、19世紀以前の世界に戻るということなのだ。つまり、世界経済が再び、オリエント・アジアに方向を変えてきた(リオリエント)という訳だ。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。
Journalismの記事も読めるのは全ジャンルパックだけ!


筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) 青山学院大学特別招聘教授、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

榊原英資の記事

もっと見る