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便利になるフリーランスの税務申告

「日本型記入済み申告制度」導入へ

森信茂樹 東京財団政策研究所研究主幹

 働き方改革で増加が予想されるフリーランス、さらには副業サラリーマンにとって、もうすぐ始まる税務申告は頭痛の種だが、グッドニュースがある。

 昨年末の税制改正議論の結果、昨年10月の本欄、「シェアリングエコノミーとタックス・ギャップ」で提案した「日本型記入済み申告制度」が、本年以降順次実現されていくことになり、今後税務申告の利便性が大きく向上されるからである。

 具体的な方向や手順はこれから明らかになっていくものと思われるが、政府税制調査会の議論を振り返りながら、検証してみたい。

医療費控除や保険料控除などが電子的な操作だけで可能に

 政府税制調査会は17年11月20日に、「経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告②(税務手続の電子化等の推進、個人所得課税の見直し)」を公表している。

 ここには、今後の税制の検討中の方向として、以下のような制度の仕組みが参考資料として掲載されている。政府税調の図にそって説明してみたい。

① 納税者は、マイナンバーカードを入手し、カードリーダーを使って自らのマイナポータルを開設する。ポータルの「データ連携」を通じて自らの医療費データや、「民間送達サービス」を通じて保険料控除の証明書データ・住宅ローンの年末残高証明書データなどが入手可能となる。
② 国税庁ホームページから申告書作成コーナーを立ち上げる。
③ マイナンバーカードで認証して
④ 取得した各種証明書データを申告書に自動転記する
⑤ それをe-Taxで税務署に送信する

 これまで紙ベースが主体であった医療費控除や保険料控除などがすべて電子的な操作だけで可能になるのである。

 プラットフォームを活用して仕事をするフリーランスの申告利便をさらに拡大するには、

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