メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

周回遅れだった日産のガバナンス

日産は開示基準が低い日本でも取り残されていた。起こるべくして起きたゴーン事件。

加藤裕則 朝日新聞経済部記者

「だれがどう決めているのか分からない」日本の役員報酬

拡大日産自動車が発表した電気自動車の試作車「日産IMs」=2019年1月14日、米デトロイト
 海外では報酬が高額な分も詳細な説明を求められている。

 2000年代に入り、欧米諸国では、株主総会で株主が役員報酬の賛否を投じる「セイ・オン・ペイ」の導入など、株主による監視を強める方向で規制を強化してきた。企業も株主らに対し、業績連動型の目的や算出法などを詳細に説明を義務づけている。「日本とはレベル感が違う」(金融機関幹部)というほどだ。

 2016年には仏で、ルノーの最高経営責任者(CEO)として受け取っていたゴーン前会長氏の報酬が反対多数で否決されている。2015年の報酬約8億円に54%が反対。拘束力はないが、ルノーは変動部分などを見直して透明化を図った。

 日本の役員報酬については「だれがどう決めているのか分からない」と機関投資家からの批判が絶えない。固定部分が多いことにも「業績を上げようとする気持ちにならない」との声もある。

 人事コンサルタントのウイリス・タワーズワトソンによると、日本の役員報酬では固定が5割。米国は固定が1割で9割が業績連動、欧州は3割近くが固定となっている。

 金額が低いことも日本の特徴で、売上高1兆円以上の企業を同社が調べたところ、米国の中間値は14.0億円で、仏は5.3億円、日本は1.5億円だった。

 このため、経済産業省は日本の経営者報酬の改革を訴え、業績連動型の導入の手引をつくったり、開示項目を増やしたりして透明化を図っている。法務省や金融庁も制度改正に動き出している。企業も任意の報酬委員会を取締役会の中に設置する企業もこの数年増えているが、それでも上場企業の3割で、最終的には社長が決めるところも少なくない。

 報酬の開示制度に詳しい青山学院大学の町田祥弘教授(会計監査論)は報酬に絡む開示ルールについて、

・・・ログインして読む
(残り:約1635文字/本文:約4186文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

加藤裕則

加藤裕則(かとう・ひろのり) 朝日新聞経済部記者

1965年10月、秋田県生まれ。岩手大人文社会科学部卒業。1989年4月に朝日新聞社入社。静岡支局や浦和支局(現さいたま総局)などに赴任した後、1999年東京本社経済部員。その後、名古屋や大阪でも経済記者を務めた。経済部では通産省(現・経産省)、鉄鋼業界、トヨタ自動車(名古屋)、関西空港・神戸港などを取材した。コーポレート・ガバナンスや会計監査について自主的に取材を重ねてきた。2014年9月から石巻支局員として東日本大震災からの復興の過程を取材。2018年4月から東京本社の経済部員として経団連などを担当している。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです