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スカイマーク佐山会長が読む「生き方と哲学」

幸せはいい方向に大きく変わった時に感じる。今幸せだと思う人には変化がない

諏訪和仁 朝日新聞オピニオン編集部記者

 みんなそれほど現実を分かっていない

 いかに生きるべきかを考えるには、世界の現状を知らないといけないと思って「FACTFULNESS(ファクトフルネス)」(日経BP刊)を読みました。実におもしろい本です。哲学書と違って読みやすいです。

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 どういうことが書いてあるか。「現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょう?」。20%、40%、60%のどれだと思いますか。「15歳未満の子どもは、現在世界に約20億人います。2100年に子どもの数は約何人になるでしょう?」。40億人、30億人、20億人のどれでしょう。「自然災害で毎年亡くなる人の数は、過去100年でどう変化したでしょう?」。2倍以上になった、あまり変わっていない、半分以下になった。

 三択ですから、チンパンジーが選んでも33%は正解するんです。しかし、チンパンジーに勝った人は、わずか10%なんですよ。いくら教養があっても、ちゃんと教育を受けてきても、ダボス会議に出る人であろうと、まったく関係なくみごとにはずすんだそうです。みんな、それほど現実を分かってないということなんです。

 なぜそうなのかというと、「ファクトフルネスの大まかなルール」を読むと分かります。

 まず「分断本能を抑える」。わかりやすい例でいうと、“先進国と後進国”のように何でも二つに分けがちなんだと。そうじゃなくて、その中間がいっぱいあることを忘れている。また、「犯人捜し本能を抑える」というのがあるのですが、何か問題が起きたときに犯人捜しをして、それで終わっちゃうのではなく、本来すべきなのは、問題を起こさないようにどうシステムを変えるかだというのです。

 世界の、今のファクトをしっかりとらえるべきだと書いてあります。そうすれば、いかに生きるべきかということも変わるはずなんですよね。人生のステージが変わっていくように、国も変化するし、環境も変化するわけですから。ということでね、哲学と現状をふたつ合わせてみると、実におもしろいな、ということに気がついたのですね。

 スカイマークの航空業界で言えば、飛行機事故の死者数はとんでもなく減っているんです。飛行機が増えたから、危ないんじゃないかと思いがちですけど、年間4千万機が死者を1人も出さずに目的地に着いています。

 ひとつのニュースだけで、これは大変だと思うんじゃなくて、過去からの推移とか、何かとの比較でとらえないといけないということをどうしても忘れがちなんですよね。ものすごく勉強になりました。

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筆者

諏訪和仁

諏訪和仁(すわ・かずひと) 朝日新聞オピニオン編集部記者

1972年生まれ。1995年に朝日新聞社入社、東京経済部、大阪経済部などを経てオピニオン編集部記者。

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