倫理的観点からの議論呼びかけ、主導権狙う
2019年01月30日
人工知能(AI)の開発力では圧倒的にアメリカと中国が強い。両国ともに国家主導でAIの開発が進んでおり、米中の企業ではAIの開発競争が行われている。世界規模のAI開発では米中の優位性が高まっている中で、カナダとフランスがAIの倫理的な利用についてイニシアティブを取ろうとしている。
カナダのトルドー首相は「カナダがAI分野で世界のリーダーになれば、AI分野における倫理的な問題や懸念を解決していくうえで、重要な役割を果たすことになる」とG7の会議でコメントし、意欲を見せた。
またフランスのマジュビ副大臣は「カナダとフランスだけでなく、他の国にも参加を呼びかけている。既にパネルに参加したいという国もある」とコメント。マジュビ副大臣は「パネルでは、AIの発展による自律型殺傷兵器、キラーロボットの問題とAIの倫理的な活用についても国際社会で議論していくことが望ましい。このパネルには中国なども含めて、あらゆる国に参加して欲しい。そこでAI技術の倫理的な活用について議論していきたい。国際社会で、AIの倫理的な活用に関する共通の価値観を醸成することが重要だ」と語った。
カナダとフランスがイニシアティブをとるパネルでは、AI利用に関するデータ収集やプライベートなデータへのアクセス、AIに仕事を奪われることになる「未来の働き方」、「AIと人権」など幅広に議論が行われる予定だが、国際社会においてAIとロボットの発展で一番懸念されているのが、自律型殺傷兵器(Leathal Autonomous Weapons Systems:LAWS)やキラーロボットの登場だ。つまり、キラーロボットが人間を介さずにロボット自身の判断で人間を攻撃してくることだ。SF映画のような話だが、キラーロボットが登場しないように既に国連などでも議論が行われているが、各国での足並みは揃っていない。そのようなキラーロボットが実現すれば、従来の戦争の在り方や人間とロボットの関係が大きく変わることになる。
フランスでは、パルリ軍事大臣が2018年3月に、AIを活用した次世代コックピット開発プロジェクトを明らかにした。「Man-Machine-Teaming(MMT)」と呼ばれるプログラムでは、
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