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「国境管理してEU離脱」しか道はない

英議会はメイ首相とEUの合意案になぜ反発するのか。それを理解すれば解決策が見える

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

拡大steny02/shutterstock.com

「根本にある問題」を理解していないブレグジット報道

 昨年末から、私はブレグジットについての小論をWEBRONZAで書き始めた。NHKや主要な全国紙でさえ、イギリスでの報道をそのままオウム返しに伝えているだけで、なぜメイ首相とEUがこういう内容でしか合意できなかったのか、なぜイギリス議会でこの合意案に反発が強いのかという“根本にある問題”を理解して報道しているように思えなかったからである。

 この“根本にある問題”を分析して正確かつ適切にブレグジットを報道するためには、イギリスとEUとの歴史的な関係はもとより、関税同盟と自由貿易協定はどの点が違うのかといった通商問題の基本、関税同盟と単一市場というEUの根幹を形成する制度について、十分に理解していなければならない(参照「ブレクジットを理解したいあなたへ」)。これらはブレグジットを理解する上で、基本中の基本、日本語で言うとイロハ、英語だとABCである。

 逆に言うと、これを正確にかつ十分理解していれば、ブレグジットについてなぜ問題や対立が起きるのか、状況が変化しても正しい分析に基づく報道を行うことができる。

 ただし、イギリスの欧州懐疑主義、通商問題、EUの制度的特徴の全てについて、基本的な理解が必要となる。特定の分野だけの専門知識があるだけでは、正しいアプローチはできない。

 マスコミだけではない。ある大学教授によるブレグジットの解説記事を読んだが、この基本の基本であるツボに触れながら本質的な部分について解説しているようには思えなかった。ある政府機関の資料も経緯の説明や合意内容や事実を羅列しているだけである。これでは何がどうして問題となるのか、さっぱり分らない。

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筆者

山下一仁

山下一仁(やました・かずひと) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員。10年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。「フードセキュリティ」「農協の大罪」「農業ビッグバンの経済学」「企業の知恵が農業革新に挑む」「亡国農政の終焉」など著書多数。

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