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自営業大国・韓国 最低賃金引き上げへの苦しみ

「4人に1人が社長」の国。文在寅政権の経済政策に反発強く

稲田清英 朝日新聞オピニオン編集部次長

少なくない「やむを得ずの起業」

 有力な選択肢の一つになるのが、自営業への転身だ。

 自営業を始める理由はもちろん多様だが、韓国の経済専門家らの分析もふまえると、こうした「やむを得ずの起業」が少なくない、という言い方はできそうだ。通貨危機で大量の失業者を出すことになった後、2000年代後半ごろまでは自営業者の割合は今よりもっと多く、30%を超えていた。

 いざ自営、となると代表的なのは、コンビニや軽食店、パン屋、居酒屋などを営むことだ。特に最近は、大手チェーンのフランチャイズ(FC)方式での自営業参入が人気を集めている。大手のブランド力を利用し、規格化された設備や材料などの供給を受けることができ、マニュアルに基づいて、誰でも比較的手っ取り早く始められる。

 韓国の街を歩いていると、狭いエリアにフライドチキン店やカフェなど同じような店が乱立している様子をよくみかける。一つ店が成功すれば、すぐに似たような店ができる、というケースもある。

拡大Scharfsinn/shutterstock.com

 ただ、誰しも考えることは同じ、となれば、当然ながら過当競争に陥りがちで、開業を果たしても、長く生き残れる保障はない。

 私は過去にソウルで2度暮らしたが、「お、新しい店ができたな」と思った飲食店などが数カ月も経たずに閉店している様子を、何度もみかけた。

 例えば飲食業では「3年続く店は3割以下」とも言われる。2年前にソウルで取材した時も、「近所にどんどん競争相手が増えてきて、なかなかもうけが出ない」といった声を聞いた。思うように利益が出ず、開業時の借金も満足に返せないまま廃業に追い込まれるケースも相次いでいるようだ。

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筆者

稲田清英

稲田清英(いなだ・きよひで) 朝日新聞オピニオン編集部次長

1972年生まれ。1997年に朝日新聞社に入り、東京本社や西部本社(福岡)の経済部を経て、2006年にソウルに留学して韓国語を学んだ。2008~11年にソウル支局員。東南アジアや中国、欧州などでも出張取材。2018年7月から現職。共著に「不安大国ニッポン」(朝日新聞出版)など。

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