山口智久(やまぐち・ともひさ) 朝日新聞オピニオン編集長代理
1970年生まれ。1994年、朝日新聞社入社。科学部、経済部、文化くらし報道部で、主に環境、技術開発、社会保障を取材。2011年以降は文化くらし報道部、経済部、特別報道部、科学医療部でデスクを務めた。2016年5月から2018年10月まで人事部採用担当部長。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
スウェーデンの15歳グレタさんから世界に広まった活動をあなたは知っていますか?
スウェーデンの15歳の少女が一人で始めた地球温暖化対策を求める活動が、世界に広がっている。
昨夏、記録的な熱波と山火事に見舞われたスウェーデンで、グレタ・トゥーンベリさんは立ち上がった。というより、座り込んだ、ストックホルムの国会議事堂前で。ちょうど総選挙が迫っていた。
学校を休み、2週間、毎日座り続けた。その後は金曜日だけ、学校へ行かずに座り込みを続けた。「Skolstrejk för klimatet(気候のためのスクールストライキ)」というプラカードを掲げて。
ツイッターとインスタグラムで発信し始めると、間もなく取材されてニュースになった。
やがてストックホルムであったプレゼンテーションイベント「TED」、ポーランドで開かれたCOP24、今年1月末のダボス会議などに招かれてスピーチした。
彼女に刺激されて、各地でデモが起き始めた。オーストラリアでは昨年11月30日、30カ所で1万5千人が学校を休んでデモに参加。モリソン首相は「抗議活動よりも学校での学びの方が必要だ」と事前に注意したが、無視された(詳細はこちら)。
ヨーロッパでも少人数の学生による抗議活動が散発的に起き始め、今年に入ってから大規模化していった。
ブリュッセルでは1月24日に3万5000人、1月27日に7万人(詳細はこちら)。
スイスでは1月18日に15カ所で2万3000人、2月2日は13カ所で6万5000人。ドイツでは1月18日に50カ所で3万人、2月8日は50カ所で2万人(詳細はこちら)。
イギリスでは2月15日に60カ所で1万5000人(詳細はこちら)。
学校を休むことへの批判もあるようだが、イギリスでは、大学教授ら224人が生徒たちの行動を支持する共同声明を発表した。
ベルギーでも、3600人以上の科学者が学生たちの行動を支持した(詳細はこちら)。
一方、ベルギーに4人いる環境大臣のうちの1人が「この運動の裏に誰がいるのかを知っている。治安当局も確認している」と、あたかも裏で生徒たちを操っている勢力がいるかのような発言をした。すぐに治安当局が否定。批判が高まり、辞任に追い込まれた(詳細はこちら)。
日本でもようやく、2月22日午後3時~4時に、国会議事堂正門前でデモ行動がある。2月14日にフェイスブックページが立ち上がった。
さらに3月15日に照準を合わせ、国際的な統一行動が企画されている。