スウェーデンの15歳グレタさんから世界に広まった活動をあなたは知っていますか?
2019年02月21日
昨夏、記録的な熱波と山火事に見舞われたスウェーデンで、グレタ・トゥーンベリさんは立ち上がった。というより、座り込んだ、ストックホルムの国会議事堂前で。ちょうど総選挙が迫っていた。
学校を休み、2週間、毎日座り続けた。その後は金曜日だけ、学校へ行かずに座り込みを続けた。「Skolstrejk för klimatet(気候のためのスクールストライキ)」というプラカードを掲げて。
ツイッターとインスタグラムで発信し始めると、間もなく取材されてニュースになった。
やがてストックホルムであったプレゼンテーションイベント「TED」、ポーランドで開かれたCOP24、今年1月末のダボス会議などに招かれてスピーチした。
彼女に刺激されて、各地でデモが起き始めた。オーストラリアでは昨年11月30日、30カ所で1万5千人が学校を休んでデモに参加。モリソン首相は「抗議活動よりも学校での学びの方が必要だ」と事前に注意したが、無視された(詳細はこちら)。
ヨーロッパでも少人数の学生による抗議活動が散発的に起き始め、今年に入ってから大規模化していった。
ブリュッセルでは1月24日に3万5000人、1月27日に7万人(詳細はこちら)。
スイスでは1月18日に15カ所で2万3000人、2月2日は13カ所で6万5000人。ドイツでは1月18日に50カ所で3万人、2月8日は50カ所で2万人(詳細はこちら)。
イギリスでは2月15日に60カ所で1万5000人(詳細はこちら)。
学校を休むことへの批判もあるようだが、イギリスでは、大学教授ら224人が生徒たちの行動を支持する共同声明を発表した。
ベルギーでも、3600人以上の科学者が学生たちの行動を支持した(詳細はこちら)。
一方、ベルギーに4人いる環境大臣のうちの1人が「この運動の裏に誰がいるのかを知っている。治安当局も確認している」と、あたかも裏で生徒たちを操っている勢力がいるかのような発言をした。すぐに治安当局が否定。批判が高まり、辞任に追い込まれた(詳細はこちら)。
日本でもようやく、2月22日午後3時~4時に、国会議事堂正門前でデモ行動がある。2月14日にフェイスブックページが立ち上がった。
さらに3月15日に照準を合わせ、国際的な統一行動が企画されている。
クレタさんのTEDでのスピーチで、運動を始めた経緯がわかる。
クレタさんは8歳の時、初めて温暖化について知った。照明を消したり、リサイクルしたりするように言われた。
本当に温暖化が進んでいるのだとしたら、どうしてもっとテレビやラジオや新聞で報じられないの?
化石燃料を燃やすのがそんなに悪いのなら、どうして規制がなく、違法化されないの?
そういうことを考えていたら、11歳の時うつになった。しゃべらなくなり、体重が10キロ減った。発達障害の一つである「アスペルガー症候群」、怖いイメージや考えが頭に浮かんで、その恐怖を打ち消すためにある行為を繰り返す「強迫性障害」、特定の場面でしか話せなくなる「場面緘黙症」と診断された。
「だから、自閉症の私たちの方が普通で、他がかなり変な人たちだと思うのです」
彼女にとっては、「気候変動は生存にかかわる危機で、最重要課題だ」とみんなが言っているわりには、行動を変えないのが理解できない。温室効果ガスの排出をやめるのが必要ならば、どうしてすぐにやめないの?
そこで学校を休んで、スクールストライキを始めた。「教育システムで最も優れた科学が示しているとても重要な事実が、政治家や社会にとって何の意味もなければ、どうして私は学校に行かなければいけないのですか」と話す。
話し方は朴訥であどけない印象がある。目立とうとか、他人をあげつらおうか、点数を稼ごうという意思は感じられず、純粋に地球と自分の将来が不安で、オトナたちに何とか行動を起こしてほしいから、自分なりにできる行動を起こしたという感じだ。
悲しいことに、彼女を批判する人たちも多いようだ。そこで2月2日、グレタさんは自身のフェイスブックで、座り込みを始めた経緯を改めて説明し、自身への批判に対し毅然と反論している(詳細はこちら)。
作文が新聞に載ると、いくつかの環境保護団体から、一緒に運動しようと誘われた。話し合いの中で、昨年2月にアメリカ・フロリダ州の高校であった銃乱射事件で17人が死亡したのを受け、同校の学生たちが授業をボイコットして銃規制を訴える集会を開いたというアイデアをグレタさんは気に入った。ところが他のメンバーは別の方法を探ることにしたため、グレタさんは集会に行くのをやめた。
両親に相談したが、「スクールストライキ」には賛成してもらえず、もしやるならすべて一人でやるようにと言われた。そこで8月20日から国会議事堂の前で座り込みを始めた。
誰かに操られたり、金をもらったりしているのではないか、という批判に対して、彼女は言う。
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