温暖化対策を訴え金曜日に国会前に座り込む「Fridays For Future」
2019年02月23日
15歳のスウェーデン人、グレタ・トゥーンベリさんが地球温暖化対策を求めて昨夏始めた運動が世界へ広がるなか、日本でも始まった。
2月22日午後3時、国会議事堂正門前で約20人が集まった。「地球に住み続けたい」「There’s no Planet B(地球を代替できる惑星Bは存在しない)」「社会ごとから自分ごとへ」などのプラカードを掲げた。
ヨーロッパなどでは、グレタさんが金曜日にストックホルムの国会議事堂前で座り込むことから「Fridays For Future(未来のための金曜日)」という名前で運動を呼びかけるようになっている(「少女は温暖化対策を訴え国会前にひとり座り込んだ」参照)。日本での活動も「Fridays For Future Japan」と名付けられた。
日本での運動を呼びかけたのは、大学生3年生の小出愛菜さん(20)だ。
「先週から呼びかけて、今日は何人来てくれるか不安でしたが、こんなに来ていただいてうれしいです。メディアの方がまだ多いですが」とあいさつした。
グレタさんについては、今年に入ってから知った。自分よりも年下の女の子が、COP24やダボス会議でスピーチしているのに衝撃を受けた。自分も何かしなければと、焦りを感じた。
2月14日に「Fridays For Future Japan」のフェイスブックページを立ち上げ、翌日にツイッターアカウントもつくった。
小出さんは、この運動を「『デモ』と呼ばないでほしい」と呼びかける。「いまは政治家に何か求めているわけではありません。とにかく、ふつうの人たちに何が起きているのかを認識してほしいだけです。この運動して発言すれば、認識してもらえるようになり、何かが変わると思います」。
リクルートスーツ姿でこの日参加した今井絵里菜さん(22)は就活中の大学4年生。関西在住だが、この日たまたま東京で面接があり、参加を決めた。
高校生のころ、プレゼンテーションイベント「TED」の動画で、ヨーロッパの経済学者が環境について講演するのを聞いて、環境経済学に興味をもった。環境問題を解決するために、大学で経済学を勉強する傍ら、環境NGO「Climate Youth Japan」に入り、いまは共同代表を務めている。2017年にドイツ・ボンで開かれたCOP23にも参加。海外の学生NGOとも交流した。
「日本では、デモやアクションに参加すると就活に響くなどと言われますが、若者が声をあげないと、日本は変わりません。普通に気軽に参加できることを知ってほしい」と話す。
金髪の男子高校2年生の酒井功雄さん(18)は一昨年、アメリカ・ミシガン州の高校へ10カ月間、留学した。授業で環境科学を学んだ。教科書を読み込んでいくと、地球がどんどん悪化していくことがわかった。すぐに対策しないと手遅れになる。
それまで温暖化は、どこか遠くで起きていることだと思っていたが、知識を得るに従って「やばいことになっている」と感じるようになった。
昨年末から環境NGO「350」でボランティアを始めた。
「いまのうちから止めないと、すぐにでも手遅れになってしまう。やり直すことはできない。その時、生き残っているのはいまこの世界を支配している大人の人たちじゃなく、僕たちだったり、僕たちの先の世代だったりする。もっと環境問題を学んで、自分たちが向かっている将来のことをきちんと知ってほしい」
取材した3人はいずれも環境NGOに関わっていて、本人たちは認めないだろうが、いわゆる「意識高い系」なのかもしれない。ただ、たまたま地球温暖化について知ったところ、「これはやばい」と感じ、何かはせずにいられず、何をしていいのかわからないから、とりあえず環境NGOに行き着いたのだろう。
だから、3人とも政府に対策を求めるというよりは、まずは「知ってほしい」と訴える。知れば、自分たちが生きる未来を確保するために行動せずにはいられなくなる。
小出さんが最も共感したグレタさんの言葉は「大人は、子供たちのことを大切に思っていると言いながら、行動がそうなっていない」というもの。地球温暖化の影響について知った時の恐怖感は、若者たちの方が強いことを改めて思い知らされた。
次は3月15日(金)に、世界的な統一行動が企画されている。
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