メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

非現実的な「試算」の前提

 ここで取り上げたい問題は、「試算」の前提である。アベノミクスが成功した「成長実現ケース」の内容を見ると、わが国の潜在成長率が、16年度0.9%、17年度1%(いずれも実績)、18年度1%(実績見込み)であるのに対し、見通しとなる19年度から上昇し、20年度1.5%、21年度1.8%、その後は2%程度の成長が続くという内容になっている。

拡大わが国の潜在成長率の推移

 「試算」はその根拠として全要素生産性(TPP)の上昇を挙げている。「足元の0.4%程度という水準からデフレ経済前の水準である1.3%程度まで上昇する」と記されているが、その根拠は全く示されていない。外生的に置いた数値である。

 いくらアベノミクスが成功したとしても、全要素生産性が今の3倍程度になるというのは、いかにも非科学的・非現実的な数字ではないか。

 政府部内の経済見通しなどをつかさどる内閣府が、試算とはいえ、公式な推計に非現実的な前提を置くことは以下のような問題を生じさせる。

 第1に、 ・・・ログインして読む
(残り:約1295文字/本文:約2526文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

森信茂樹

森信茂樹(もりのぶ・しげき) 東京財団政策研究所研究主幹・中央大学法科大学院特任教授

1950年生まれ、法学博士(租税法)。京都大学法学部を卒業後、大蔵省入省。1998年主税局総務課長、1999年大阪大学法学研究科教授、2003年東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、2005年財務総合政策研究所長、2006年財務省退官。この間東京大学法学政治学研究科客員教授、コロンビアロースクール客員研究員。06年から中央大学法科大学院教授、(一社)ジャパン・タックス・インスティチュート(japantax.jp)所長、東京財団上席研究員。10年から12年まで政府税制調査会専門家委員会特別委員。日本ペンクラブ会員。著書に、『税で日本はよみがえる』(日本経済新聞出版)、『未来を拓くマイナンバー』(中央経済社)『消費税、常識のウソ』(朝日新書)『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)、『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)、『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)など。

森信茂樹の記事

もっと見る