強すぎる「著作者人格権」の大幅制限を
神様から著作権法を一ヵ所だけ変える力を貰ったら(最終回)/審査結果発表!
平井佑希 弁護士・弁理士

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権利の適切な守備範囲を考える
弁護士・弁理士の平井佑希と申します。極めて僭越ながらこのリレー連載のアンカーを務めさせていただくことになりました。アンカーのご指名を受けただけでも恐縮なのに福井先生からは「権利保護の闘士」と過分なご紹介までいただきました。ただ、私自身「闘士」というほど好戦的でもありませんし、ジャンプの黄金期に育った身としては、クロスの1つも身につけずに「闘士」とは名乗れないように思います。
そのようなご紹介をいただいたのは、おそらく私がこれまで出版、放送、ゲームなどの分野で、権利を保護する側の立場から訴訟に関与してきたからではないかと想像します。
しかし、今回のリレー連載で私が提案させていただくのは、むしろ権利の適切な守備範囲を考えてみようという話です。
今回のこのリレー連載は「神様から著作権法を一ヵ所だけ変える力を貰ったら」というお題なのですが、実はこのもととなったライトニングトークの時点では、「ぼくのかんがえたさいきょうのちょさくけんせいど」と題されていました(福井先生の開幕の辞をご参照ください)。
「最強」という言葉はとても多義的で、これをどう解釈するかという時点で、既にスピーカーによって様々な立場があり得るように思います。実際、ここまでリレー連載をご覧になった皆様はお分かりのように、それぞれのスピーカーが考える「最強」の著作権制度は多種多様です。
ライトニングトークのスピーカーにご指名いただき、私が最初に行ったのは、「最強」という言葉の解釈でした。「最強」というと強ければ強いほどいいとも解釈できますが、私はこれを「自分の適切な守備範囲をわきまえていること」と捉えて、その解釈を前提として、ライトニングトークのシナリオを構築しました。
そのように「最強」を捉えて何を話そうかと考えた時、ふと私の頭の中に「こいつポジショニングがおかしくないか?」と思うヤツが浮かんだので、そのあたりの率直な気持ちを、中山信弘先生をはじめとするゲスト審査員の先生方にぶつけてみた次第です。