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中国の自動車市場に「異変」

新車販売台数、28年ぶりに減少 日本車メーカーの対応は?

片山修 経済ジャーナリスト、経営評論家

地域によって異なる事情

 また、地域によっても、事情が異なる。上海、深圳、北京などの沿岸部では、すでに自動車は飽和し、渋滞や環境問題が発生している。ナンバープレートについて、高額で購入、あるいは抽選など、規制を行う都市は7都市にのぼり、今後、数年内に15~20都市にまで増える見通しだ。これらの地域では、買い替え需要が増えている。

 一方、一部の内陸部や農村部では、まだモータリゼーションさえ訪れておらず、依然、買い替え需要より新規購入の需要が多い。また、若年層と高齢者層では評価するクルマは異なる。つまり、メーカーは、地域や顧客層ごとのニーズに、丁寧に対応する必要がある。

日系のメーカーは健闘

 18年の中国の乗用車市場のブランド別シェアは、1位・独フォルクスワーゲン(VW)、2位・上海汽車、3位・米GM、4位・吉利汽車に次いで、5位・日産、6位・トヨタ、7位・ホンダと日系メーカーが続く。

 日系JVの中国での18年の販売実績は、18年に、日産156万台で前年比2.9%増、トヨタ147万台で同14.3%増といずれも過去最高。ホンダは、主力車のリコールの影響で同1.7%減の143万台だが、19年1月は同月として過去最高を記録している。全体需要に対して、日系のJVは健闘している。中国の消費者の日独メーカーの品質に対する信頼は、いまだに高いといえる。

 東風汽車有限公司(日産・東風汽車集団のジョイントベンチャー企業)経営企画部の泉田金太郎氏は、次のようにいう。

 「日系メーカーは、現状は〝勝ち組〟です。しかし、中国の自動車市場は、とても厳しい。チャンスは大きい半面、デザインや先進技術の取り込みに後れをとると、とたんに〝古い〟と判断されて〝負け組〟に落ちてしまう。つねに最新の技術やデザインを入れていかなければ、中国の消費者は評価してくれません」

 実際、米フォードや仏PSA(旧プジョー・シトロエン・グループ)、韓国メーカーなどは、近年、シェアを落としている。かつて「地場メーカーよりマシ」という理由で選ばれてきた、これらブランドは、地場メーカーの品質向上に伴って〝負け組〟化した。

 また、地場メーカーのなかでも国有企業の上海五菱、長安汽車、長城汽車などは、地場の新興EVメーカーなどに押され、シェアを下げた。

 中国の地場メーカーは、150社とも、500社近いともいわれる。上海汽車、東風汽車、第一汽車、長安汽車、北京汽車、奇瑞汽車など国有大手に加え、近年は、BYD(比亜迪)、NIO(ニオ)、小鵬汽車など、新興民営のEVメーカーに勢いがある。

 もっとも、競争は激しく、〝勝ち組〟は上位10社程度に限られる。

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筆者

片山修

片山修(かたやま・おさむ) 経済ジャーナリスト、経営評論家

愛知県名古屋市生まれ。2001年~2011年までの10年間、学習院女子大学客員教授を務める。『ソニーの法則』(小学館文庫)20万部、『トヨタの方式』(同)8万部のベストセラー。『本田宗一郎と昭和の男たち』(文春新書)、『人を動かすリーダーの言葉 113人の経営者はこう考えた』(PHP新書)、『なぜザ・プレミアム・モルツは売れ続けるのか?』(小学館文庫)、『サムスン・クライシス』(張相秀との共著・文藝春秋)、『社員を幸せにする会社』(東洋経済新報社)など、著書は50冊を超える。中国語、韓国語への翻訳書多数。 公式ホームページ

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