日本でも販売開始、ビジネスジェットを利用しやすい環境作りに意欲
2019年03月13日
本田技研工業の米国子会社ホンダ エアクラフト カンパニー(HACI)の小型ビジネスジェット機「HondaJet(ホンダジェット)」の販売が好調だ。2018年の年間納入が37機となり、小型ジェット機カテゴリーで2年連続の世界最多納入になった。
ホンダジェットは2015年に引き渡しを開始し、これまでに100機以上を納入。2018年は、改良型「HondaJet Elite(ホンダジェット エリート)」を発表し、日本国内での販売もスタートした。そして、12月20日には日本登録機として最初の機体が引き渡された。
エリートは航続距離を伸ばしたほか、エンジンへの空気取り入れ口に新構造を採用し、客室内のノイズを低減。航空業界では初めてスピーカーを使わないオーディオシステム「Bongiovi(ボンジョヴィ)」を、オプションで採用できるようにするなど、新機軸も打ち出している。
航空機開発の優秀な人材が多い米国で開発され、ついに日本でも納入が始まったホンダジェット。今後はどのような販売戦略を進めていくのだろうか。
ビジネスジェットというと、日本では「ぜいたく品」という見られ方をしがちだが、世界ではビジネスツールとして定着してきている。航空会社が直行便を運航していなくても目的地へ飛べるほか、運航スケジュールも柔軟に組める。特に国土が広い米国や、隣国との往来も多い欧州では、自動車に近い感覚でビジネスジェットを活用していると言っても過言ではない。
ホンダジェットの生みの親であるHACIの藤野道格社長は、日本での販売について「数機売って終わりではなく、日本を今までと違うレベルにしていきたい」と、ホンダジェットをきっかけに、ビジネスジェットを活用しやすい環境作りに意欲を見せる。
藤野社長によると、米国では1時間2500ドル程度で、ホンダジェットを乗り合いで使う事例もあり、日本にもこうした潜在需要があると見込んでいる。標準仕様で乗客5人が乗れ、パイロット1人でも運航できるホンダジェットを、タクシーのように使うのだ。
「航空会社の定期便では3日かかる出張を、1日で終わらせられる。欧米では、部長クラスがビジネスジェットを使える目安になっている」(藤野社長)と、業務効率化のためにビジネスジェットが活用されている事例を示す。
改良型のエリートでは、空力特性の見直しや重量軽減、燃料タンクを増やしたことで、航続距離を従来の1223海里(約2265キロ)から1437海里(約2661キロ)に17.5%(約396キロ)伸ばした。日本から海外へ向かう場合、北京や上海、台北、ソウルといった片道4時間以内の都市へ、ノンストップで飛べる。
藤野社長は、ホンダジェットの航続距離について「ビジネスジェットの需要が多いルートのトップ10のうち、半分をカバーしている」と話す。つまり、片道4時間以内の移動に対する需要が多いということだ。
海外だけではない。国内84空港へ乗り入れることができ、羽田や成田、関空、那覇から国内全空港へ飛ぶことができる。これまで地方空港というと、
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