2019年03月18日
かつて世界の大国の中で高度成長を続けたのは中国だった。1970~2008年の年平均成長率は9.8%と10%に近い成長を達成したが、2010年代に入ると成長率は低下し、2015年には6%台まで下ってきている。高度成長期は終焉し、安定成長期に入ってきたといえるのだろう。2014年には中国の成長率はインドのそれを下回り(2014年の成長率はインドが7.41%、中国が7.3%)、2018年にはIMFの予測(2018年10月の推計)によるとインド7.30%、中国6.60%となっている。
2014年5月にナレンドラ・モディ前グジャラート州首相がインド人民党(BJP)を率いて首相に就任、「モディノミクス」と呼ばれる成長政策を積極的に推し進めている。7.30%という成長率は大国の中では最も高いもので、今後とも7~8%の成長を続けると予測されている。
インドの名目GDPは2.602兆USドルとアメリカの13.6%(アメリカの名目GDPは19.485兆USドル)、中国の21.7%とまだまだ低いレベルなので、今後の経済政策の運営が適切になされれば、7~8%の成長率を維持することは十分可能なのだ。プライスウォーターハウス・クーパース(PwC)は「2050年の世界」(2017年2月7日発表)という調査レポートを発表しているが、このレポートによると、2015年~2050年のインドの実質GDPの年平均成長率は4.9%と、ナイジェリア(5.4%)、ベトナム(5.3%)、バングラデシュ(5.1%)に次ぐ世界第4位。ちなみに、この時期は中国の年平均成長率は3.4%、アメリカは2.4%、日本は1.4%となっている。
高い成長率を持続することによって、インドのPPPベースGDP(2014年基準)が2040年前後にアメリカのそれを抜き、2050年には中国(61.079兆USドル)に次ぐ世界のナンバー2になると予測されている(インドのGDPは42.205兆USドル、アメリカのそれは41.384兆USドル)。ちなみに、日本はナンバー7で7.914兆USドルとされている。ナンバー4はインドネシア(12.210兆USドル)なので、トップ7のうち4か国がアジアの国々。2050年にむけて、アジアが世界経済の中心になっていくということなのだ。
ただ、1人当たり名目GDPでは、アメリカやヨーロッパの国々、それに日本が高く、中国やインドを大きく上回っている(2017年のデータ)。アメリカの1人当たりGDPは5万9792USドル、フランスは3万9933USドル、イギリス3万9800USドル、日本3万8449USドルと、中国の8643USドル、インドの1976USドルを大きく上回っている。これは経済運営がうまくいけば、中国とインド、特にインドが、今後大きく伸びていく可能性が高いということも示しているといえるのだろう。
アンガス・マディソン(イギリスの経済学者。OECDのエコノミスト、ハーバード大学の客員研究員等を務めている)によると、1820年の時点での世界のGDPの29%は中国、16%はインドだったという。中国・インドの2ヶ国で、実に、世界のGDPのほぼ半分を占めていたのだ。19世紀からさらに時代を遡ると両国のシェアは次第に増加し、16世紀前後には世界のGDPの約70%を占めていたと言われている。このように考えていくと、
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