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100兆円超え予算の評価と背景

 話を国の予算に戻すと、平成最後となる31年度の歳出規模101.5兆円は、国全体の稼ぐ力を表すGDPの約18%に相当する(当研究所予想の名目GDP対比)。この比率が高いか低いかは、最終的に国民の総意で決めるべきものであり、後に示す税金などの収入や他国との比較が参考となろうが、少なくとも過去と比較すると、平成元年の14.1%から4%ポイント程度拡大している。当時の歳出規模は60.4兆円であり、金額にすると41兆円増加したことになる。

 その拡大の要因を見ると、圧倒的なのは年金や医療保険など社会保障費であり、平成元年度の10.9兆円(GDP比2.5%)から31年度には34.1兆円(6.1%)へ3倍以上にもなっている。次いで目立つのは国債の償還(返済)や利払いに充てる国債費であり、11.7兆円(2.7%)から23.5兆円(4.2%)へ倍増している。

拡大財務省看板=東京都千代田区

 その他、主要な項目を見ると、90年代に景気対策で大幅に拡大、2000年代に入って大幅に削減された公共事業費は6.2兆円(1.5%)から6.8兆円(1.2%)へ若干増加している。また、「GDPの1%以内」を目安とされている防衛費は、3.9兆円(0.9%)から5.2兆円(0.9%)へGDPの拡大に比例して増加、教育科学費も4.9兆円(1.2%)から5.6兆円(1.0%)へ増加しているがGDP比では公共事業費と同様、割り負けている。

 社会保障費や国債費の膨張が他の予算を圧迫している様子は、歳出の構成比を見ればより顕著であり、平成元年度は社会保障費が予算全体に占める割合は18.0%、国債費が19.3%に対して、公共事業費10.3%、防衛費6.5%、教育科学費8.2%とそれなりの割合を占めていたが、31年度予算では社会保障費の33.6%と国債費の23.2%だけで半分を超えており、公共事業費6.7%、防衛費5.2%、教育科学費5.5%とかなり配分が抑え込まれている。

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筆者

武田淳

武田淳(たけだ・あつし) 伊藤忠総研チーフエコノミスト

1966年生まれ。大阪大学工学部応用物理学科卒業。第一勧業銀行に入行。第一勧銀総合研究所、日本経済研究センター、みずほ総合研究所の研究員、みずほ銀行総合コンサルティング部参事役などを歴任。2009年に伊藤忠商事に移り、伊藤忠経済研究所、伊藤忠総研でチーフエコノミストをつとめる。

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