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高齢化と債務拡大で膨張する社会保障費と国債費

 社会保障費と国債費がここまで膨張した原因は、言うまでもなく高齢化と国債発行の増大である。平成元年度予算では、社会保障費10.9兆円のうち6.6兆円、約6割が年金や医療保険の給付に充てられていたが、31年度予算では介護保険も加わって34.1兆円のうち27.1兆円、全体の約8割を年金・医療保険が占めるに至っている。

 この数字は、あくまでも国の予算であるが、地方自治体分を含む社会保障全体をカバーする別の統計(国民経済計算)で見ても、社会保障の規模は平成元年の46.3兆円から、最新の公表値となる29年度に116.3兆円へ拡大、その増加額70兆円のうち、年金は33.3兆円、医療・介護保険は32.4兆円と両者でほぼ全てを占めている。そして、いずれの増加も高齢者(65歳以上)の人口でほぼ全てを説明できるため、社会保障費の増加は主に人口高齢化の影響によるものであると言え、1人当たりの年金支給額の変化や医療サービス拡大の影響は、これまでのところ小さいようである。

拡大日銀の金融政策決定会合後、記者会見する黒田東彦総裁=2018年7月31日、東京都中央区

 国債費について見ると、平成元年度は11.7兆円のうち利払い費(利子および割引料)が11.1兆円とそのほとんどを占めたが、31年度は23.5兆円のうち利払い費が8.8兆円にとどまり、元本の償還費が14.7兆円まで増大している。これは、国債残高(一般会計分)が平成元年当時の158.5兆円、借入金を合わせた負債合計でも185.1兆円に過ぎなかったものが、昨年末時点には973.9兆円、負債合計で1,100兆円にも積み上がったためである。さらに言えば、利払い費が減っているのは、10年物国債の利回りが当時の6%前後から、最近はわずか0.1%という水準まで低下しているためであり、日銀の大規模な量的金融緩和という特別な環境がもたらしたものであることに留意しておく必要があろう。

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筆者

武田淳

武田淳(たけだ・あつし) 伊藤忠総研チーフエコノミスト

1966年生まれ。大阪大学工学部応用物理学科卒業。第一勧業銀行に入行。第一勧銀総合研究所、日本経済研究センター、みずほ総合研究所の研究員、みずほ銀行総合コンサルティング部参事役などを歴任。2009年に伊藤忠商事に移り、伊藤忠経済研究所、伊藤忠総研でチーフエコノミストをつとめる。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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