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ゲノム編集食品の流通で起きること

小さな企業でも活用でき、食料生産を飛躍的に拡大させる可能性はあるが…

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

食料生産を飛躍的に拡大させる可能性

 政府の規制は別として、我々はゲノム編集された農産物や食品についてどのように考えればよいのだろうか?

 まず、我々人類は自然による遺伝子の突然変異を利用してきたという事実がある。これがなければ、作物の栽培や家畜の飼育という農業は成立しなかった。その典型が米や小麦などの穀物である。ほんらい生物は子孫を残したいという欲求を持つ。穀物が実をつければ、それを広く飛ばして多くの子孫を持とうとする。タンポポが綿毛を飛ばすことを思い起こしてもらいたい。

 この生物の習性は、穀物を食用としたい人類にとっては、はなはだ不都合なものだった。穀物の実が飛び散ってしまえば、拾い集めることは容易ではなくなるからである。

拡大Artem Oleshko/shutterstock.com

 しかし、突然変異で実を落とさない穀物を人類は見つけた。

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筆者

山下一仁

山下一仁(やました・かずひと) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員。10年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。20年東京大学公共政策大学院客員教授。「いま蘇る柳田國男の農政改革」「フードセキュリティ」「農協の大罪」「農業ビッグバンの経済学」「企業の知恵が農業革新に挑む」「亡国農政の終焉」など著書多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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