注目集める「神風ドローン」とキラーロボットへの懸念
2019年03月26日
軍事におけるドローン活用の歴史は新しいものではない。ベトナム戦争時代から開発は行われていた。そしてドローンが戦場で一般的に活用されるようになったのは、2000年代のアフガニスタンとイラクにおけるアメリカの対テロ戦争からだ。それ以降もアメリカのドローンはアフガニスタン、パキスタン、イラクなどの戦争で使われ、注目を集めるようになった。そして軍事ドローンの開発は世界中で続けられている。
オバマ元アメリカ大統領は在任時に、国防総省の報告書「2011年~2036年度 無人システム統合ロードマップ」、「2013年~2038年度 無人システム統合ロードマップ」を承認。今後25年間、ペンタゴンのドローンが戦争を主導することに言及している。ドローンは無人機(Unmanned aerial vehicle :UAV)のイメージが強いが、他にも無人車両システム、無人水上車両、無人海上システム、無人航空システムがあり、深海から宇宙空間までのあらゆる場所を偵察し、攻撃までできる。現在、これらのドローンが空から水中、さらに地表で様々な任務をこなしている。
また、アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)では超小型飛行機(MAV)と呼ばれる、昆虫にヒントを得た偵察用のドローンを精力的に開発している。超小型ドローンは1972年にCIAが「インセクトソプター」というトンボを模したドローンのプロトタイプを作った時から、諜報コミュニティで使われてきたと言われている。そして1999年には、極小ビデオカメラを搭載して偵察任務ができる初代超小型飛行機を完成させた。操縦性に優れ、基地に帰還するまでの最長22分間、空中で停止したり、飛び回ったりすることが可能だった。バイオミメティクス・ドローンと呼ばれ、ハチドリ、こうもり、カブトムシ、ハエのように見えるため、人間の目ではドローンで偵察をされていることに気が付かれないようになっている。
ナノバイオテクノロジーの発展によって、かつてはSFの世界にしかなかったような生物と機械を組み合わせたドローンにも注目が集まっている。従来は偵察用目的とされていた生物を模した超小型ドローンが、破壊力のある攻撃型ドローンになり、空中や地表で攻撃してくることは技術的にも決して難しいことではない。
軍事におけるドローンの役割は敵地の偵察・監視と攻撃の2つだ。キラードローンと呼ばれる無人攻撃機が登場し、2001年にはアフガン戦争でタリバンやアルカイダ攻撃に使用されていた。攻撃の標的はゲリラやテロリストである。ゲリラやテロリストを発見してすぐに攻撃しなければ逃げられる確率が高く、攻撃機に出撃を要請する余裕はない。そのため、空中からの無人攻撃機は対テロ戦争には最適の兵器である。ベトナム戦争では有人攻撃ヘリコプターが行っていた攻撃任務が、2000年代の対テロ戦争では無人攻撃機にとってかわられるようになった。
そして、現在注目を集めているのが「神風ドローン」と呼ばれるドローンだ。英語でも「kamikaze strike(神風ストライク)」、「kamikaze drone(神風ドローン)」、「Suicide drone(自爆型ドローン)」とも呼ばれている。日本の「神風特攻隊」にその名前が由来しているように、標的にドローンが突っ込んでいき標的を爆破する。従来のドローンのように、ドローンからミサイルで攻撃を仕掛けるのではなく、
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