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拡大Den Rise/shutterstock.com

 現在のような大衆向けの新聞が定着した19世紀。かつてニューヨークで発行されていた新聞「ニューヨーク・トリビューン」紙の記者ジュリアス・チェンバースが、同じくニューヨークにあったブルーミングデール精神病院の実態を暴露し、12人の「患者」(実際には精神疾患ではなかった)が解放されるという出来事があった。彼は1872年に、ニューヨーク・トリビューン紙副編集長の力を借り、患者として同病院に潜入。10日間で退院すると、その体験を紙面で発表したのである。記事は大きな反響を呼び、患者を解放しただけでなく、最終的には関連法が改正されるまでに至った。この一件は、いわゆる調査報道のもっとも古い例のひとつとして知られている。

 それから150年近く経とうとしている現在も、調査報道はジャーナリズムの花形として位置付けられている。とはいえチェンバースの例が象徴するように、調査報道は決して楽ではない。優秀な記者の工数を文字通り「拘束」しなければならず、しかも書き上げられた記事がビジネス上の成果(売上部数のアップなど)をもたらすとは限らない。そのため報道機関の一部は、調査報道を縮小する動きを見せており、そうでない報道機関も、売上が伸び悩む中でどう調査の予算を捻出するかに頭を悩ませている。

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筆者

小林啓倫

小林啓倫(こばやし・あきひと) 経営コンサルタント

1973年東京都生まれ、獨協大学外国語学部卒、筑波大学大学院修士課程修了。システムエンジニアとしてキャリアを積んだ後、米バブソン大学にてMBAを取得。その後外資系コンサルティングファーム、国内ベンチャー企業などで活動。著書に『FinTechが変える!金融×テクノロジーが生み出す新たなビジネス』(朝日新聞出版)、『今こそ読みたいマクルーハン』(マイナビ出版)、訳書に『ソーシャル物理学』(アレックス・ペントランド著、草思社)、『データ・アナリティクス3.0』(トーマス・H・ダベンポート著、日経BP)など多数。また国内外にて、最先端技術の動向およびビジネス活用に関するセミナーを手がけている。

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