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消費増税は日本経済の底上げにつながる

10%への消費増税は21年度までネット減税、構造改革として断行すべきだ

森信茂樹 東京財団政策研究所研究主幹・中央大学法科大学院特任教授

一部エコノミストから流れ始めた「消費増税延期」説

拡大国会会期末の記者会見で、消費増税の時期を2019年10月まで延期することを表明した安倍晋三首相=2016年6月1日、首相官邸
 わが国の景気判断がむつかしい局面に差しかかり、中国経済の変調など海外要因も加わり、一部エコノミストから、またぞろ「消費増税延期」説が流れ始めている。

 一方で、消費増税を織り込んだ平成31年度予算は、早々と3月27日に国会を通過し成立した。国会では、消費増税の中身を問う議論はほとんど見受けられず、そのせいもあって、一部エコノミストのように、「増税は景気の足を引っ張る」「再延期すべきだ」と、誤解(曲解)に基づく言説が出始めている。

 しかし、10月から消費税率10%への引き上げは、少なくとも2021年度まではネットで減税になり、景気にとってプラスに働く。それどころか中期的なわが国経済の底上げにつながる重要な政策である。

 今回8%から10%への消費増税による増収は5.2兆円(国・一般会計)である。一方で、幼児教育の無償化など社会保障充実に使われる費用は2.8兆円、診療報酬の補填が0.4兆円で、合計3.2兆円が国民の受益に回る。この差額の2兆円(5.2兆円-3.2兆円)は財政再建にまわる、と総理が何度も述べていた。

 しかし、「経済に与える影響を緩和する」という大義名分のもと、ポイント還元(0.3兆円)、プレミアム商品券(0.2兆円)、住宅の購入者にすまい給付金などの支援、さらには防災・減災・国土強靭化(公共事業)で2兆円の追加歳出が行われる。

 加えて住宅ローン減税の充実や自動車取得時・保有時の負担軽減で0.3兆円の減税がある。これらの経済対策をすべて合わせると2.3兆円の経済対策となる。そしてこの対策の多くは2020年度にも継続される。

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筆者

森信茂樹

森信茂樹(もりのぶ・しげき) 東京財団政策研究所研究主幹・中央大学法科大学院特任教授

1950年生まれ、法学博士(租税法)。京都大学法学部を卒業後、大蔵省入省。1998年主税局総務課長、1999年大阪大学法学研究科教授、2003年東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、2005年財務総合政策研究所長、2006年財務省退官。この間東京大学法学政治学研究科客員教授、コロンビアロースクール客員研究員。06年から中央大学法科大学院教授、(一社)ジャパン・タックス・インスティチュート(japantax.jp)所長、東京財団上席研究員。10年から12年まで政府税制調査会専門家委員会特別委員。日本ペンクラブ会員。著書に、『税で日本はよみがえる』(日本経済新聞出版)、『未来を拓くマイナンバー』(中央経済社)『消費税、常識のウソ』(朝日新書)『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)、『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)、『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)など。

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