10%への消費増税は21年度までネット減税、構造改革として断行すべきだ
2019年03月29日
一方で、消費増税を織り込んだ平成31年度予算は、早々と3月27日に国会を通過し成立した。国会では、消費増税の中身を問う議論はほとんど見受けられず、そのせいもあって、一部エコノミストのように、「増税は景気の足を引っ張る」「再延期すべきだ」と、誤解(曲解)に基づく言説が出始めている。
しかし、10月から消費税率10%への引き上げは、少なくとも2021年度まではネットで減税になり、景気にとってプラスに働く。それどころか中期的なわが国経済の底上げにつながる重要な政策である。
今回8%から10%への消費増税による増収は5.2兆円(国・一般会計)である。一方で、幼児教育の無償化など社会保障充実に使われる費用は2.8兆円、診療報酬の補填が0.4兆円で、合計3.2兆円が国民の受益に回る。この差額の2兆円(5.2兆円-3.2兆円)は財政再建にまわる、と総理が何度も述べていた。
しかし、「経済に与える影響を緩和する」という大義名分のもと、ポイント還元(0.3兆円)、プレミアム商品券(0.2兆円)、住宅の購入者にすまい給付金などの支援、さらには防災・減災・国土強靭化(公共事業)で2兆円の追加歳出が行われる。
加えて住宅ローン減税の充実や自動車取得時・保有時の負担軽減で0.3兆円の減税がある。これらの経済対策をすべて合わせると2.3兆円の経済対策となる。そしてこの対策の多くは2020年度にも継続される。
つまり、消費税率を引き上げることにより5.2兆円(国の一般会計)の歳入増があるものの、それを超える歳出増・減税が予定されており、ネットで国庫に入ってくる税収はマイナス(2兆円―2.3兆円=▲0.3兆円)となる。2021年から増収になる(財政再建につながる)というが、オリンピック後の景気後退でおそらく経済対策が打たれるので、21年度も歳出超過になる可能性が高い。
つまり、今回の増税による増収分は当面、社会保障の充実と経済対策に使われ、(短期的には)経済にプラス要因になる。逆に言えば、財政再建には全く寄与しない。
国民の税金の無駄遣いをすべきではないという筆者の立場からは、
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