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最後にどうなるブレグジット

三度目の採決はどうなる?

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

拡大EU首脳会議の会場に着いた英国のメイ首相。報道陣に「(離脱を決めた)国民投票から3年近くたっている。今こそ、議会が決める時だ」と話した=2019年3月21日、ブリュッセル

英国は正気に戻れるか

 ブレグジットについては、英国議会の動向が主として報じられてきた。EU離脱強硬派、メイ首相がEUとまとめた協定案に近い穏健な離脱派、EU残留派、イギリス本土と同一の扱いを主張する北アイルランド地域政党など、議会内に多様な意見があってまとまりにくい上、メイ首相にこれを調整する政治的な意思も力も全くないことが、この混乱に拍車をかけたといってよい。

 与党である保守党の中にも、離脱強硬派などメイ首相の協定案に反対する意見が強い。また、保守党が過半数の議席を持たないため連立を組む北アイルランド地域政党は、ブレグジットには賛成だが、北アイルランドとイギリス本土の扱いを異なるものとする協定案の中のバックストップ(北アイルランドとアイルランド間の厳格な国境管理を避けるため、北アイルランドにはEUと同一の法律制度・規則を適用しようというもの)に反対している。

 通常の外交交渉で政府が与党と調整しないで、外国政府と交渉をし、その結果について議会承認を求めることはありえない。特に、今回のように与党内に異なる意見がある場合は、なおのことである。

 しかし、メイ首相がそのような意見のすりあわせや調整、EUとの交渉状況の説明、交渉結果への理解を得るための努力を行ったようには思えない。それどころか、EUとの交渉さえも、メイ首相が直接信頼する官僚に任せて交渉させて、担当閣僚は交渉から外され交渉の状況さえ説明されなかったと報道されていた。

 メイ首相の協定案には与党どころか閣僚さえも関与していない。それを、通常の議決では行われる党議拘束もかけずに、直接議会の議決にかければ、歴史的な大差で二度も否決されるのは当然だろう。議会への説得の仕方も、内容を説明するというより、これを承認しなければ合意なき離脱になって大変なことが起きますよといった脅し的なものである。

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筆者

山下一仁

山下一仁(やました・かずひと) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員。10年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。「フードセキュリティ」「農協の大罪」「農業ビッグバンの経済学」「企業の知恵が農業革新に挑む」「亡国農政の終焉」など著書多数。

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