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「ニュース女子」問題は終わっていない

「フェイク」と「ヘイト」が結びついたテレビ番組が問いかけるもの

松本一弥 朝日新聞夕刊企画編集長、Journalist

「マスコミが報道しない真実」

 「ニュース女子」はどんな番組だったのか。

 まずはこの番組を審議したBPOの放送倫理検証委員会が2017年12月14日付でまとめた報告書「東京メトロポリタンテレビジョン『ニュース女子』沖縄基地問題の特集に対する意見」や実際の映像をもとに番組の概要を振り返っておこう。

 CMを含め約19分間の番組は、取材VTRの冒頭、登場した「軍事ジャーナリスト」のこんな言葉で始まる。

 「実はですね、今大変話題になっております高江ヘリパッドの建設現場で、過激な反対運動が行われているということで、ちょっとこの現場ですね、どのようになっているのか、取材をするためにやってまいりました」。その後、画面には「軍事ジャーナリスト」の名前とともに「緊急調査 マスコミが報道しない真実」とのスーパーが流れる。そして映像は「いきなりデモ発見」とのナレーションとともに、抗議活動に参加している人々を映し出す。

 「軍事ジャーナリスト」は「いました、いました。反対運動の連中がですね、カメラを向けていると、もうあいつ、あいつだみたいな感じで、こっちの方を見ています」「このへんの運動家の人たちが襲撃をしに来るということをいっているんですよね」といいながら、抗議活動に参加する人々の方に近づいていく。画面には、「軍事ジャーナリスト」は「反対派にとって有名人」のスーパーが表示される。そして「このまま突っ込んで襲撃されないですか?」とのナレーションの後、「近く行く?」「これ近づいたら危ない危ない」というスタッフの声が入る。

「反対派の暴力行為により、地元住民でさえ近寄れない」

沖縄県名護市の二見杉田トンネル拡大沖縄県名護市の二見杉田トンネル

 続いて画面に「取材交渉」というスーパーが表示され、「自ら取材交渉へ」とのスーパーが出るが、「しかし、このままだと危険と判断し、いったん撤収」というナレーションが流れてスタジオは爆笑に包まれた。司会者が「なあんだ、情けないじゃん」というと、「軍事ジャーナリスト」は「もう近づくとね、1人、2人と立ち上がって、敵意をむき出しにしてきてかなり緊迫した感じになりますんで、ちょっとこのあたりでやめておきます」と語った。

 その後、番組は名護市内の米軍キャンプ・シュワブのゲート前付近などを映してから、名護市の二見杉田トンネルへ。その入り口に立った「軍事ジャーナリスト」は「このトンネルをくぐっていきますと、米軍基地の高江ヘリパッドの建設現場ということになります」と説明。

 その後、「地元関係者から、高江ヘリパッド建設現場が緊迫してトラブルに巻き込む可能性があるので、今回の撮影を中止すべきだとの要請があり、残念だがロケを断念してもらうことに」とのナレーションが入る。「軍事ジャーナリスト」は「私ははるばる羽田から飛んできたんですけれど、足止めを食っているという状況なんですよ」と語る。「反対派の暴力行為により、地元の住民でさえ高江に近寄れない状況」。ナレーションにはそう書かれていた。

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筆者

松本一弥

松本一弥(まつもと・かずや) 朝日新聞夕刊企画編集長、Journalist

1959年生まれ。早稲田大学法学部卒。朝日新聞入社後は東京社会部で事件や調査報道を担当した後、オピニオン編集グループ次長、月刊「Journalism」編集長、WEBRONZA(現「論座」)編集長などを経て現職。満州事変から敗戦を経て占領期までのメディアの戦争責任を、朝日新聞を中心に徹底検証した年間プロジェクト「新聞と戦争」では総括デスクを務め、取材班の同僚とともに石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞、JCJ(日本ジャーナリスト会議)大賞、新聞労連ジャーナリスト大賞を受賞した。早稲田大学政治経済学部や慶応大学法学部では非常勤講師などとしてジャーナリズム論や取材学を講義した。著書に『55人が語るイラク戦争ー9.11後の世界を生きる』(岩波書店)、共著に『新聞と戦争』(上・下、朝日文庫)。

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