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ブロックチェーンとトレイサビリティ

食の安全を守るため新技術の活用に期待が集まるが…

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

食品トレイサビリティに立ちはだかる「加工」

 このように流通形態が単純で小規模のものについては、トレイサビリティは難しいものではない(日本で、ブロックチェーンをトレイサビリティに応用しているという例も、このレベルのものである)。しかし、それを超えて大規模に展開しようとすると、大きな問題を克服する必要がある。このため、現段階では、トレイサビリティは食の安全性の向上という本来の目的を達成できない。

 これはブロックチェーンの問題ではなく、トレイサビリティに内在する問題である。これを説明しよう。

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筆者

山下一仁

山下一仁(やました・かずひと) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員。10年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。20年東京大学公共政策大学院客員教授。「いま蘇る柳田國男の農政改革」「フードセキュリティ」「農協の大罪」「農業ビッグバンの経済学」「企業の知恵が農業革新に挑む」「亡国農政の終焉」など著書多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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