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「陰謀論」は不安を抱えた心に忍び込む

ファクトチェックの記事が出る前に「トンデモ発言」は光のような速さで拡散してしまう

松本一弥 朝日新聞夕刊企画編集長、Journalist

「最初から悪者に仕立てようとした」

タフツ大学教授のジェフリー・ベリーが同僚の社会学者と書いた「THE OUTRAGE INDUSTRY」拡大タフツ大学教授のジェフリー・ベリーが同僚の社会学者と書いた「THE OUTRAGE INDUSTRY」

 番組の収録が終わり、後日、自宅で放映された番組を見てベリーは仰天した。

 「テレビ画面には僕のヒゲづらの顔がアップで映されていました。ビル・オライリーの顔、ヒゲづらの私の顔、オライリーの顔、私の顔と、画面には交互に2人の顔が映ってはいたのですが私としては非常に分が悪かった。本当にひどいものでした」

 「この番組の作り方そのものが最初から僕のことを悪者に仕立て上げようと、あらかじめデザインされていたこともわかりました。僕が何を話そうと番組にとっては初めから関係ない、そんな印象すら抱きました。政治学者である僕にとって、こんなクズのような番組にはそれまでまったく関心すら払わなかったというのに……」

 その時、味わった屈辱感や怒り、そしていいかげんな番組制作に結果的に乗せられて出演してしまったことへの後悔の念や番組制作者らへの不信感が募ったあげく、「メディアビジネスの実態を本格的に調べてみよう」という気になったのだという。

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筆者

松本一弥

松本一弥(まつもと・かずや) 朝日新聞夕刊企画編集長、Journalist

1959年生まれ。早稲田大学法学部卒。朝日新聞入社後は東京社会部で事件や調査報道を担当した後、オピニオン編集グループ次長、月刊「Journalism」編集長、WEBRONZA(現「論座」)編集長などを経て現職。満州事変から敗戦を経て占領期までのメディアの戦争責任を、朝日新聞を中心に徹底検証した年間プロジェクト「新聞と戦争」では総括デスクを務め、取材班の同僚とともに石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞、JCJ(日本ジャーナリスト会議)大賞、新聞労連ジャーナリスト大賞を受賞した。早稲田大学政治経済学部や慶応大学法学部では非常勤講師などとしてジャーナリズム論や取材学を講義した。著書に『55人が語るイラク戦争ー9.11後の世界を生きる』(岩波書店)、共著に『新聞と戦争』(上・下、朝日文庫)。

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