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日本は韓国にWTOで敗訴したのか?

原発事故の被災地からの水産物の禁輸。日本がこれからとるべき道は?

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

拡大「日本敗訴」を伝える2019年4月12日の朝日新聞夕刊

 福島第一原発事故の被災地からの水産物輸入を禁止した韓国政府の措置を日本がWTO(世界貿易機関)に提訴した事件で、第一審に当たるパネルは日本の主張を認めたものの、上級審に当たる上級委員会はこの判断を覆した。この結果、韓国の禁輸措置が継続されることとなった。

 この結果について、菅官房長官は「敗訴の指摘は当たらない」と主張し、その理由に「日本産食品は科学的に安全であり、韓国の安全基準を十分クリアするとの第一審の事実認定は維持されている」ことを挙げた。

 これが国際経済法学者から誤りだと指摘され、物議を醸している。「日本産食品は科学的に安全」という記載は第一審の報告書にはなかったとも指摘されている(4月23日朝日新聞1面)。

 本件に関する報道や専門家の解説記事を読む限り、私は「敗訴の指摘は当たらない」という日本政府の主張には同意するが、その理由として挙げたものは上級委員会報告を正確に理解したものではなかった。その限りで国際経済法学者の批判は当然だと考える。

 その根拠を以下で解説するが、むしろ問題は、敗訴していないのに、韓国がWTOに違反しているおそれが高い禁輸措置を継続できることになったことである。

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筆者

山下一仁

山下一仁(やました・かずひと) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員。10年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。「フードセキュリティ」「農協の大罪」「農業ビッグバンの経済学」「企業の知恵が農業革新に挑む」「亡国農政の終焉」など著書多数。

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