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自動運転、過疎地の切り札は「ゴルフカート」

電磁誘導線に沿って時速12kmで走る。自動運転サービスの実用化が見えてきた

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

課題は持続するビジネスモデルの確立

 上小阿仁村は雪が多いが、実験では25cmぐらいの降雪でも、カートは電磁誘導線から磁力の信号を読み取り、円滑に自動走行した。村は「実用化して高齢者が外出する機会が増えれば、健康になって村が活性化する」と期待をかける。

 ゴルフカートは数十年前から実用化されている「古い技術」である。国交省の実験では、ゴルフカートのほか、同じく電磁誘導で走るマイクロバスの実証実験(北海道大樹町)も行われた。

 走る道に電磁誘導線を埋めれば、自然条件が厳しい地域でも有用であることが実証され、今後、全国の過疎地や中山間地に広く展開できる可能性が出てきた。

 むろん将来に向けた検討課題は多い。もっとも重要なのは持続するビジネスモデルの確立だ。需要予測、運行体制、自治体の補助金、運賃や運送料金の設定、住民への周知などが課題である。

物流業界が期待するトラック隊列走行

 二番目に実用化が見込まれている自動運転の形態は、高速道路での貨物トラックの隊列走行だ。

 先頭車両だけドライバーが運転し、後続の3~4台の無人トラックは無線で連結してそれぞれ10m程度の間隔を保って追走する。道路の白線を検知して車線を維持する。

拡大トラック隊列走行実験のイメージ図=国交省HPより

 物流業界は昨今の物品取引の急増で、人手不足や長時間労働に悩まされている。今後ますます深刻になるが、隊列走行が実現すれば、一人で一度に大量の荷物を運ぶことができるので期待が大きい。

 ただ、相手がトラックなので安全性の確保が最大の課題だ。国交省は今冬、新東名高速での実証実験を実施し、2022年ごろには商業化したいという。

 政府の自動走行ビジネス検討会の座長を務めている東京大学大学院の鎌田実教授は、「過疎地の自動運転サービスやトラックの隊列走行は、走る路線が決まっているので、ある程度のお金をかければ今すぐにでも実現できる」という。

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筆者

木代泰之

木代泰之(きしろ・やすゆき) 経済・科学ジャーナリスト

経済・科学ジャーナリスト。東京大学工学部航空学科卒。NECで技術者として勤務の後、朝日新聞社に入社。主に経済記者として財務省、経済産業省、電力・石油、証券業界などを取材。現在は多様な業種の企業人や研究者らと組織する「イノベーション実践研究会」座長として、技術革新、経営刷新、政策展開について研究提言活動を続けている。著書に「自民党税制調査会」、「500兆円の奢り」(共著)など。

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