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「自民党はリベラル」という若者の認識を考える

森信茂樹 東京財団政策研究所研究主幹

Dreaming Poet/shutterstock.com

 早稲田大学現代政治経済研究所の調査結果では、若い世代ほど自民党支持が多いという。また、40代以下は自民党を「リベラル」な政党ととらえているという。60代後半の筆者にとっては、驚きの調査結果なので、筆者なりの分析を行ってみた。

国会の介入で個人の自由を守る「リベラル」

 取り上げるのは、経済政策である。その場合、まずリベラルという言葉の意義を定義しておく必要がある。わが国では一般に、米国流の定義が使われていると考えてよい。

 それは、「国家による市場の介入を行うことにより個人の自由を守る」という考え方、つまり国家の役割を肯定する考え方が基本となる。あくまで市場の資源分配機能は肯定したうえで、市場の失敗や行き過ぎた部分への介入である。ここから、「国が個人のリスクを(ある程度)肩代わりする」という政策などに広がりを見せていく。

 わかりやすいのは、「政府の規模をある程度大きくして、社会保障の充実などにより安心・安全な国づくりをめざすこと」、さらには「税や社会保障を通じて格差問題への対応を強化すること」である。

 このような経済政策は、欧州諸国では社会民主主義というコンテキストで語られることが多いが、米国やわが国では、「リベラル」な政策として位置付けられている。

 これに対して、国家の役割を限定的にして個人の自由を最大限確保すべき、政府の規模は小さくあるべきという立場は、保守(コンサーバティブ)と呼ばれる。

 米国では、基本的に大きな政府を標榜する民主党はリベラル、小さな政府を主張する共和党は保守と区分される。米国には、さらにリバタリアン(自由至上主義)と称されるグループが存在するが、経済政策としては小さな政府を志向する保守である。

安倍政権の経済政策は?

 このように分類したうえで、わが国の自民党、とりわけ安倍政権の経済政策が、リベラルかどうかを考えてみた。

 第1のメルクマールは、政府の規模である。大きな政府はリベラル、小さな政府は保守という立場からの分析である。

 税・社会保障の国民所得に対する負担割合である国民負担率の変化を見てみよう。安倍政権の発足時(2013年度)は39.9%であったが、2018年度には42.5%と、2.6ポイント上昇している。

 内訳を見ると、税負担の増加が1.8ポイント、社会保険負担が0.8ポイント増となっており、高齢化に応じて税や社会保障負担を引き上げて社会保障を拡充してきたといえよう。

 ただし、社会保障負担の大宗を占めるのは社会保険料負担で、04年の年金改革で決まった長期間に及ぶ年金保険料負担の増加によるもので、安倍政権の政策とはいいがたい。また税負担の増加も、三党合意の消費増税(8%への引き上げ)が大きく寄与しており、これも安倍政権の政策といえない面があるが、いずれも自民党が関与した政策であるということはできる。

 さらに本年10月からの10%への消費税率引き上げが決まれば、政府の規模はもっと拡大するので、この面のリベラル度は上がるといえよう。

 一方、財政目標(プライマリーバランス黒字化)は5年の先送りも行われており、リベラルというより単なるバラマキ、さらには更世代へ負担を先送りするだけのポピュリズムという批判がある。筆者もそう考えるが、

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