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インバウンド狙いの地域観光は日本の魅力失わせる

「地域文化」より「日本文化」求める外国人で、日本観光は金太郎飴になってしまうのか

南雲朋美 地域ビジネスプロデューサー 慶應義塾大学・首都大学東京非常勤講師

外国人旅行客を特別扱いしすぎていませんか

 私は4年前、スペインのサンチャゴ巡礼をしました。ピレネー山脈の麓からサンティアゴ・コンポステーラまでの約700キロを世界各国の年齢も宗教も職業も様々な人たちと40日間かけて一緒に歩きました。

 巡礼中に訪れる街は、小さな田舎町もあれば、大きな観光地もありました。どこに行っても、外国人だから特別扱いされることはなく、スペイン人もフランス人も日本人も韓国人も「同じものを同じように」楽しんでいました。フランスもそうですが、観光大国は、誰もが楽しめる「基本的」で「本質的」なサービスとホスピタリティが根付いているように思います。

 日本はどうでしょうか。外国人旅行客を特別扱いしすぎていて、日本人旅行客にそっぽを向かれていないでしょうか。

南雲さん2拡大市場で買い物をして、料理を作る観光ツアーでは、スペイン人も外国人も一緒に楽しむ=南雲さん提供

「観光ってなんだろう」ともう一度考えよう

 前職の星野リゾート時代、コンセプトを刷新するプロジェクトにアサインされて煮詰まっていたときに、ふと「観光ってなんだろう?」と考えたことがありました。

 疑問に思って、色々な文献を読みあさっていたら「観光とは、“地域の光”を見ることだ。光とは知恵のことである」というようなことが書かれているものがありました。それまでは、観光とは遊ぶこと、リラックスすること、だと思っていたので、ひどく感銘をうけてメモをしたので覚えています。それからというもの、その言葉は、私の観光の概念に刻まれているのですが、あいにく誰がどこで語っていたのかを失念してしまったので、改めて調べてみました。

 「観光」の語源は古代中国『易経』にある「観国之光,利用賓于王(国の光を観る、用て王に賓たるに利し)」との一節による。(wikipedia)

 「国の光を観る、用て王に賓たるに利し」という意味については日本大百科全書にもう少し詳しい説明があります。

 「観国之光,利用賓于王」。その本来の語義は「他国の制度や文物を視察する」から転じて「他国を旅して見聞を広める」の意味となる。また同時に「観」には「示す」意味もあり、外国の要人に国の光を誇らかに示す意味も含まれているという説もある。(日本大百科全書)

 つまり、観光とは、他国をよく観察して、優れた部分を学ぶこと、という意味だと解釈できます。文脈からすると「他国」は「地域」と置き換えて解釈することも可能なので、旅とは「地域の魅力を体験する」ことと捉えました。

 その事例を紹介します。

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筆者

南雲朋美

南雲朋美(なぐも・ともみ) 地域ビジネスプロデューサー 慶應義塾大学・首都大学東京非常勤講師

1969年、広島県生まれ。「ヒューレット・パッカード」の日本法人で業務企画とマーケティングに携わる。34歳で退社後、慶應義塾大学総合政策学部に入学し、在学中に書いた論文「10年後の日本の広告を考える」で電通広告論文賞を受賞。卒業後は星野リゾートで広報とブランディングを約8年間担う。2014年に退職後、地域ビジネスのプロデューサーとして、有田焼の窯元の経営再生やブランディング、肥前吉田焼の産地活性化に携わる。現在は滋賀県甲賀市の特区プロジェクト委員、星野リゾートの宿泊施設のコンセプト・メイキングを担うほか、慶應義塾大学で「パブリック・リレーションズ戦略」、首都大学東京で「コンセプト・メイキング」を教える。

 

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