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大阪ガス・尾崎会長が読む「ブラック・スワン」

未来は誰にも分からない。未来を予測するよりは、何か起きた時の対策を考えた方がいい

諏訪和仁 朝日新聞記者

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尾崎 裕(おざき・ひろし)
大阪ガス会長
兵庫県宝塚市出身。大阪府立北野高校卒、東京大学工学部計数工学科を卒業して、1972年大阪ガス入社。企画部国際室長、原料部長などを経て、2005年に常務取締役、2008年4月に代表取締役社長、2015年4月から代表取締役会長。2015年12月に大阪商工会議所会頭に就任したほか、2025日本国際博覧会協会副会長、文楽協会理事長を務める。

未来はわからない

 毎年10月19日の創業記念日に、社長が1時間ばかり話すことになっています。2008年に社長になってから何を話すかを考えていましたが、毎回自分で考えてもあんまりおもしろいことも言えないから、何か本のトピックスをテーマに話をしたらどうかと思うようになったのが、東日本大震災のあった2011年でした。

 アマゾンでいい本がないかと探していたら、「ブラック・スワン 不確実性とリスクの本質」(ナシーム・ニコラス・タレブ著、邦訳はダイヤモンド社刊)の英語の原書(「The Black Swan」)を偶然見つけたんです。

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 大震災にも触れられそうだし、おもしろそうだなと思ってちょっと読んでみたら、本当におもしろい。でも、ものすごく難しい。難しいというのは、内容もそうだけど、文章がめちゃめちゃ難しい。知らない単語が山ほど出てくる。

 この人、哲学的やからね。辞書を引きながら読みました。日本語訳もあるけれど、こんな読みにくい本は、日本語訳で読んだらもっと混乱すると思って、原書で読むことにしました。同じ著者の本がほかに3冊ほどあって、買ってはいるけれど、この本と同じで読むのがしんどいから、まだ読んでいません。

 書いてあることを一言で言えば、「未来はわからない」。それに尽きると思う。そこまで人間の知恵が及ばないということ。5月に、「ケ・セラ・セラ」で有名なアメリカの歌手、ドリス・デイが亡くなりましたが、その歌詞の「The future’s not ours to see」(先のことはわからない)。未来は見えない、ということです。

 この本をもとにして、2011年の創業記念日に「Be a Game Changer」という話をしました。本に出てくる話を紹介しながら、やはり世の中は何が起こるかわからないし、わからないことをわかろうとするのは、無駄だろうという話をしました。


筆者

諏訪和仁

諏訪和仁(すわ・かずひと) 朝日新聞記者

1972年生まれ。1995年に朝日新聞社入社、東京経済部、大阪経済部などを経験。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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