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山本太郎は嫌いでもMMTは嫌わないでください

財政赤字を恐れず、通貨発行益を国民生活の改善のために使え

森永卓郎 経済アナリスト、獨協大学経済学部教授

拡大「反緊縮」を唱える山本太郎議員は遊説で、MMT理論は「現代の必読書」であると訴えている

金融緩和を継続できる余地はまだまだ大きい

 MMT(近代貨幣理論)への風当たりが強い。MMTというのは、財政均衡の目途を基礎的財政収支に置くのではなく、上限となるインフレ率(例えば3%)になるまでは、財政赤字を許容するという考え方だ。もちろん、そこで生まれた赤字国債は、中央銀行が買い入れる。中央銀行は政府の子会社だから、購入と同時に、借金は事実上消えるのだ。

 そうしたことをすると、インフレ率が高まり、国債価格が下落するというのが、経済学の常識だが、その程度は思ったよりもずっと低いというのが、アベノミクス下での日本経済で判明したことだった。

 第2次安倍政権発足以降、日銀は368兆円も国債保有を増やした。それによって、確かに深刻なデフレからの脱却には成功したが、いまだに物価上昇率は1%未満であり、目標の2%に遠く及んでいない。国債に至っては、マイナス金利に陥っている。つまり、財政赤字を増やして、それを日銀が買い取る金融緩和を継続できる余地は、まだまだ大きいということになる。

 しかし、MMTに関しては、評論家たちだけでなく、安倍総理や日銀の黒田総裁も、否定的だ。もしかすると、MMTが世間になかなか受け入れられないのは、「山本太郎のような胡散臭い政治家が主張しているから」というものがあるのかもしれない。山本太郎氏は、確かに議論やパフォーマンスが極端に走る傾向があって、それで顰蹙を買っているのだが、言っていることの方向性自体は、間違っていないことが多い。MMTも、まさにそうだ。

 私自身は、いまのMMT批判をみていて、「また同じことが起きている」と感じている。いまから19年前に私は『日銀不況』という書籍を書いて、インフレターゲット付きの量的金融緩和政策の導入を主張した。そのとき、私が置かれた立場は、まさにいまの山本太郎氏と同じだった。経済学者たちから総スカンを食い、日銀は出入り禁止になった。そして、私への批判は、まだ紙媒体だった本誌でも行われた。

 2002年3月号の月刊『論座』に、木村剛氏が私を批判する論文を掲載したのだ。「見当違いの陰謀史観にはあきれるばかり 森永卓郎さん、政策を語りなさい 徹底反論 実現可能性を欠くインフレターゲッティング論はその場凌ぎの『経済評論』にすぎない」というのが木村論文のタイトルだった。

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筆者

森永卓郎

森永卓郎(もりなが・たくろう) 経済アナリスト、獨協大学経済学部教授

1957年7月生まれ。東京都出身。東京大学経済学部経済学科卒業。日本専売公社、日本経済研究センター(出向)、経済企画庁総合計画局(出向)、三井情報開発(株)総合研究所、(株)UFJ総合研究所を経て、現在、経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。専門は労働経済学と計量経済学。そのほかに、金融、恋愛、オタク系グッズなど、多くの分野で論評を展開している。日本人のラテン化が年来の主張。

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