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インバウンド3000万人 求められるおもてなし

法律改正で国家資格がなくても外国人に有料で「ガイド」ができるようになった。

古屋絢子 全国通訳案内士(英語)

通訳ガイドは国家資格がなくてもできるようになった

 「通訳ガイド」という職業名を初めて耳にする人も多いことだろう。まずは、どのような仕事なのか、想像してほしい。

 言葉の「通訳」をする人?
 観光バスで団体客を引率する「ガイド」?

 どちらも正解であるが、十分な答えではない。

 正式名称は「全国通訳案内士」。国土交通省(観光庁)が管轄する国家資格で、報酬を得て外国人客とともに日本国内を案内し、日本各地の観光地や文化、習慣、歴史などを外国語で紹介する仕事である(他に地域限定の通訳案内士資格も存在する)。

 知名度は高くないが、訪日外国人客にとって日本の印象を左右する重要な責務を負っているという点から「民間外交官」に例えられることもある。

 国家資格試験に合格し、さらに現場で仕事をするには、外国語能力の他に日本の地理・歴史・観光などに精通していなければならない。現在は、通訳案内士法が改正され、国家資格は不問となったものの、それでもやはり高い能力が求められることに変わりはない。

インバウンド1拡大食事も大切な要素だ=筆者提供

 筆者は6回目の受験で合格し、2013年から600組以上のツアーを案内してきた。そのうち実に8割は、お客様の人数が5人以下の個人ツアーである。東京を中心に、ときには富士箱根、日光など日帰りで旅行できる範囲の1日、もしくは数日間のご案内という仕事が多い。もちろん、大型バスを利用して40人近くの団体を引率することもあるが、よりお客様と近い距離感で、個人の希望に柔軟に寄り添える形のツアーに魅力を感じ、得意としている。

生活空間の中に伝える価値のあることは山ほどある

 ガイド仲間には海外居住経験者、長期留学経験者が多数いるが、筆者にはいずれの経験もない。つまり、生まれてからずっと日本国内に住んで、英語も国内で勉強してきた。ガイドの現場では、もちろん言葉の面で勉強不足を痛感し、悔しい思いをすることもある。しかし、「日本代表」の通訳ガイドとして世界各地からのお客様と接するうちに、少しずつ自信と誇りも醸成されてきている。

 読者の中でもし「自分は海外で英語を勉強していないから……」と遠慮をしている人がいたら、ぜひ勇気と自信をもっていただきたい。日本に生まれ育った人の内側には、ご自身が当たり前と感じる普段の生活や地域の文化・習慣の中に、外国人客に伝える価値のあることは山のようにあるからだ。あとは、伝え方や表現を工夫すれば良いのだ。

インバンド1拡大英語通訳ガイド研修会で講師を務める古屋絢子さん=筆者提供

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筆者

古屋絢子

古屋絢子(ふるや・あやこ) 全国通訳案内士(英語)

全国通訳案内士(英語)。東京都出身、お茶の水女子大学大学院修了。日本科学未来館、東京大学を経て2013年に全国通訳案内士試験合格。現在は1年のうち5か月以上、外国人観光客を対象としたツアーを全国各地にて実施する。さらに年間2カ月近く官公庁、自治体主催のインバウンド研修、ガイド養成講座等にて講師をつとめる。 【通訳ガイド稼働実績】*言語は全て英語 2017年度:120日 (個人ツアー 110日 / 団体ツアー10日) 2018年度:170日(個人ツアー 60日 / 団体ツアー110日) 【主な講師実績】 環境省国立公園満喫プロジェクト 人材育成支援業務(検討会委員、講師) 文化庁ミュージアムマネジメント研修(講師) 地域通訳案内士養成講座(行政主催・飛騨地域、佐渡地域、金沢市) 特例通訳案内士養成講座(行政主催・福島県) ボランティアガイド講座(埼玉県行田市、東京都江東区、新潟県長岡市) 専門学校(神田外語学院国際観光科、文京学院大学)

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