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「年金」が参院選の最大争点になって思うこと

「分かち合い」の考え方が劣化していく恐ろしさ

山口智久 朝日新聞オピニオン編集長代理

年金とは「長生きリスク」に備える保険

 年金への不信が高まるなかで、特に若い人たちの反応が気になる。「年金には期待していない」という声が多い。

 無理もない。老後生活に十分な年金が支払われないから「自助しろ」と国(金融庁)が呼びかけるなら、「じゃあ、自分で運用するから、いまのお年寄りのために年金保険料を巻き上げるな!」と思うだろう。

 そうした若い人たちには、制度の重要性を粘り強く説明していくほかない。

 党首討論を聞いていても「マクロ経済スライドで年金が減る」「マクロ経済スライドは将来の給付を確かなものにする」「36年後に積立金が枯渇する」「積立金の運用益は民主党政権時代の約10倍出ている」といった、国会の厚生労働委員会でやってほしい細かい議論ばかり。党首討論であれば、税と社会保険の役割分担、限られた財源をどこに重点的に配分しようとしているのか、などの考え方の違いをあぶり出してほしい。

 私たちも「社会保険」としての年金について理解しなくてはならない。学校教育で教える必要がある。恥ずかしながら私も、厚生労働省担当の記者になった35歳で初めて勉強した。

 年金とは、長生きリスクを社会全体で分かち合う社会保険である。

 よろこぶべき「長寿」を「リスク」と捉えるのは、抵抗があるかもしれない。「社会のお荷物だから早く死ねと言うのか」「敬うべきお年寄りに対して失礼だ」と反発を覚える人もいるだろう。

 だが、生きるにはお金がかかる。そして、人間はいつまで生きるかはわからない。

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筆者

山口智久

山口智久(やまぐち・ともひさ) 朝日新聞オピニオン編集長代理

1970年生まれ。1994年、朝日新聞社入社。科学部、経済部、文化くらし報道部で、主に環境、技術開発、社会保障を取材。2011年以降は文化くらし報道部、経済部、特別報道部、科学医療部でデスクを務めた。2016年5月から2018年10月まで人事部採用担当部長。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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