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通訳ガイドが外国人客のニーズをつかむポイント

「語学の専門家」というだけでは通訳ガイドができない理由を探りました。

古屋絢子 全国通訳案内士(英語)

 外国人旅行客を取り込もうと、全国各地で「インバウンド」を誘致する取り組みが行われています。ただ、適切な通訳ガイドができなければ、リピーターとなってくれません。観光目的もあれば、ビジネス目的での来日による接待もあるでしょう。「論座」編集部では、通訳ガイドの古屋絢子さんの連載記事とともに、8月3日にワークショップ「私にもできるかも! 外国人客のガイドに必要なスキルを学ぶ」を開きます。申し込みはここをクリックしてください。(ワークショップは修了しました)

リアルな日本知りたい

 日本に訪れる外国人客は、日本人ガイドに対して何を求めているのか?

 「日本人ガイド」の中には、有料ガイドもいれば、ボランティアガイドもいるし、知人・友人によるガイドあることもあるだろう。

 程度の差こそあれ、ガイドがお客様のニーズを把握することは大切だ。

 筆者の経験から、多くのお客様は有料で旅をコーディネートする「通訳ガイド」に対し、次の四つのことをイメージしている。

① 日本に関するあらゆることを相談したい
② いまの日本と日本人のリアルな姿を教えてほしい
③ 特定のテーマで案内をしてほしい
④ 旅先で出会う日本人との橋渡しをしてほしい

インバウンド2拡大ツアー客と食品サンプルづくりをする筆者=筆者提供
  この4項目は、前回の記事「インバウンド3000万人 求められるおもてなし」でも述べたように、「通訳ガイドの役割」を踏まえたうえでということを忘れないでほしい。

・安全に(=交通手段や食事場所の手配など、旅の段取りを整える)
・楽しく(=日本の魅力を伝え、お客様を喜ばせる)
・快適に(=お客様の不便さの解消、より良いサービスの提供)

①なぜ日本に関するあらゆることを相談したいのか?

 東京都内の1日ツアーを依頼されるお客様にこの傾向が強い。彼らは来日直後(ほとんどが翌日)に個人ツアーを手配することで、観光を楽しむだけでなく、日本滞在中のイロハを効率よく知りたいのだ。実際に、このケースでは、切符の買い方や電車の利用法といった実用的な知識のみならず、日本の文化・習慣、旅行のアドバイスを手厚く説明することになる。例えば、玄関での靴の脱ぎ履き、お箸の使い方などは、日本人にとっては当たり前のことでも、外国人客にとって一見わかりづらく、非常に関心の高い話題である。

 その背景にはお客様の中に「日本でのルール・マナーを守り礼儀正しく振る舞いたい」という気持ちがある。こうした、旅先の文化習慣を尊重しようとする姿勢に感激し、感謝しつつ、様々な話題を、押しつけにならないよう加減しながら伝えている。


筆者

古屋絢子

古屋絢子(ふるや・あやこ) 全国通訳案内士(英語)

全国通訳案内士(英語)。東京都出身、お茶の水女子大学大学院修了。日本科学未来館、東京大学を経て2013年に全国通訳案内士試験合格。現在は1年のうち5か月以上、外国人観光客を対象としたツアーを全国各地にて実施する。さらに年間2カ月近く官公庁、自治体主催のインバウンド研修、ガイド養成講座等にて講師をつとめる。 【通訳ガイド稼働実績】*言語は全て英語 2017年度:120日 (個人ツアー 110日 / 団体ツアー10日) 2018年度:170日(個人ツアー 60日 / 団体ツアー110日) 【主な講師実績】 環境省国立公園満喫プロジェクト 人材育成支援業務(検討会委員、講師) 文化庁ミュージアムマネジメント研修(講師) 地域通訳案内士養成講座(行政主催・飛騨地域、佐渡地域、金沢市) 特例通訳案内士養成講座(行政主催・福島県) ボランティアガイド講座(埼玉県行田市、東京都江東区、新潟県長岡市) 専門学校(神田外語学院国際観光科、文京学院大学)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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