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子育て一段落世代を引きつける通訳ガイド

自分の力を生かしたい――。そう考える世代を狙って地域ガイド養成講座が続々

古屋絢子 全国通訳案内士(英語)

アクシデント・旅程変更に即応できるのが地域ガイドの強み

 地域通訳案内士の強みの一つに、その地域の魅力を熟知し、アクシデントにもすぐ対応できる情報を持っているという点がある。

 「地元のことは地元の人におまかせ(一番よく知っている)」

 私はこう考えている。

 例えば、筆者も2週間にわたり全国各地に外国人客を引率するロングツアーを担当することがある。その際、最も難しさを感じるのが、急なアクシデントによる旅程変更だ。知っている飲食店も限られる。アレンジしようにも情報がなくては動けない。そうしたアウェーの土地ゆえの苦労も、地元の通訳ガイドならたやすく解決してしまうことだろう。実は、こうした安心感は、外国人客にとって大きな魅力であったりする。

インバウンド3拡大外国人向けツアーで訪れた銭湯でくつろぐ外国人=熊本市中央区

 一人のガイドが日本各地に帯同するのはぜいたくな旅だ。一方で、地域代表ともいえる地域の通訳ガイドが旅先の各地で外国人客を迎え、質が高く地域に密着したガイドならではのサービスを提供することは、旅に彩りを与えることになる。

 地域の通訳ガイドや関連サービスを利用することは、地域に直接お金が落ちることにもなる。

二つのタイプがある養成講座

 このような地域通訳案内士の養成講座には、二つあると言われている。一つは、通訳ガイドとして何十年も活躍された大ベテランが登壇し、非の打ちどころのないモデルガイドを披露するような講座だ。

 もう一つは、筆者も含め、数多くの失敗談と反省に基づくアドバイスが中心の養成講座だ。いわば転ばぬ先の杖を提供している。

 また、充実した養成講座のカリキュラムには、「外の視点」も欠かせない。受講生らは、その地域に長年暮らす人たちが中心で、自分たちには気付きにくいことが時々ある。お客は外国人客であり、ニーズを読み取る必要がある。筆者にようにロングツアーを引率した際に気付いた「旅行者にとってうれしいサービスや必要なサービス」は、地域が限定され、日帰り中心の通訳ガイドでは気付きにくい点だ。あくまでもロングツアーをしている外国人客がお客だということを忘れてはならないからだ。

インバウンド3拡大上野公園を案内する古屋絢子さん=東京都台東区

 通訳ガイドは、いわゆる会社員のようなキャリアデザイン、ライフデザインができるわけではない。自分の生活の中で、通訳ガイドの比率をどこまで高めるのか、またいつまでやるのか、それはその人個人に任されている。また、活動エリアが限定されていることで、通訳ガイドのマンネリ化もあるだろう。多くの外国人客は、その時限りかもしれない。しかし、時代によってニーズの変化はあるし、各地が外国人客の誘致合戦をしているという今、スキルアップやニーズのキャッチアップは欠かせない。だからこそ、地域通訳案内士の資格を得たとしても、受講生仲間、ガイド仲間としてその後も付き合い、切磋琢磨しながら成長していくことのできる環境をつくることが重要になる。

 筆者が養成講座で講師をする際も、受講生によるグループワークを課すことで、ひとりひとりの強みや個性を共有し、そこから学びあえるような仕組みづくりのきっかけを提供するようにしている。講師からアドバイスできるのは開講中のみだが、受講生のコミュニティーができれば、その後も支え合うことができる。

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筆者

古屋絢子

古屋絢子(ふるや・あやこ) 全国通訳案内士(英語)

全国通訳案内士(英語)。東京都出身、お茶の水女子大学大学院修了。日本科学未来館、東京大学を経て2013年に全国通訳案内士試験合格。現在は1年のうち5か月以上、外国人観光客を対象としたツアーを全国各地にて実施する。さらに年間2カ月近く官公庁、自治体主催のインバウンド研修、ガイド養成講座等にて講師をつとめる。 【通訳ガイド稼働実績】*言語は全て英語 2017年度:120日 (個人ツアー 110日 / 団体ツアー10日) 2018年度:170日(個人ツアー 60日 / 団体ツアー110日) 【主な講師実績】 環境省国立公園満喫プロジェクト 人材育成支援業務(検討会委員、講師) 文化庁ミュージアムマネジメント研修(講師) 地域通訳案内士養成講座(行政主催・飛騨地域、佐渡地域、金沢市) 特例通訳案内士養成講座(行政主催・福島県) ボランティアガイド講座(埼玉県行田市、東京都江東区、新潟県長岡市) 専門学校(神田外語学院国際観光科、文京学院大学)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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