メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

無料

外国人とのコミュニケーションで必須な三つの配慮

島国ニッポン。「郷に入れば郷に従え」では済まない時代になった。

古屋絢子 全国通訳案内士(英語)

通訳ガイドになって見えてきたこと

 通訳ガイドとして多くのツアーを実施するにつれ、これまで知らなかった世界に触れ、学ぶ機会を得ている。最も衝撃的だったのは、日本で生まれ育ったにもかかわらず、自分自身が日本文化を表層的にしか理解していなかったと気づいたことである。

 実は、通訳ガイドの「プロ」になった直後、茶の湯の体験ツアーで通訳をした際、茶道の先生の話がほとんど理解できず、通訳に困ったことがあった。危機感を抱いていたとき、知人の紹介で「世界茶会」を主宰する岡田宗凱さんと出会い、初心者対象の茶会ワークショップに通うようになった。いまでは表千家に入門し、亀の歩みで基礎を学んでいる最中である。

 「茶の湯は日本文化の総合芸術」とも言われるように、様々な分野の芸術が合わさって独自の空間を演出している。例えば、庭園、茶室の建築、床の間の装飾、道具、着物など、ひとつひとつを取り上げても知るべきことが無限に広がっている。私は、まだそうした世界を味わうどころか、知識の海でもがいている状態である。

インバウンド4拡大座禅に取り組む外国人モニター=2019年1月18日午前11時35分、横須賀市浦郷町

感動や楽しみ増幅させる「技」を学び続ける

 私が通訳ガイドになって、最も幸せを感じる瞬間、それはこれまで当たり前だと思って見過ごしていた景色や普段の生活、日本人の気質などの美点を、外国人という外からの視点でお客様から具体的に教えてもらえることだ。もちろん、彼らの賛辞には多少のお世辞も含まれているのは理解しているが、それを差し引いても「感動のおすそ分け」は私にとって宝物である。

 通訳ガイドは「総合力」が問われる仕事であると思う。これまでの人生経験、学び、趣味などすべてを活用できる可能性を秘めている。ただし、一方的かつひとりよがりな案内にならないように、お客様の感動や楽しみを増幅させるように常に工夫をし、そのための技を磨いていく必要がある。

インバウンド4拡大Benny Marty/shutterstock.com

 私は、通訳ガイドの国家試験に6回目で合格した。合格通知を見た瞬間「これで長年の勉強から解放される!」と思ったものの、すぐにその考えが間違っていたことに気付いた。

 「プロ」の通訳ガイドになって、受験時よりもさらに多くのことを、より深く学び続けている。そしてガイドの現場で得られた貴重な知見を、ガイド養成講座の講師や、一般の方への情報発信として還元している。いずれも通訳ガイドになりたての頃には、予想もしなかったことだ。

 日常生活や旅のツールとして、スマートフォンの地図アプリや、小型翻訳機、オーディオガイドといったツールやサービスが次々と登場し、誰もが以前よりも気軽かつ快適に海外旅行を楽しめるようになった。10年後、AI(人工知能)の発達により、通訳ガイドの業務の一部はとって代わられることになるかもしれない。それでも、通訳ガイドという仕事はなくならないのではないか、と私は楽観している。理由は、今も昔も、旅の醍醐味は現地の人との交流だからだ。

 

ワークショップ「私にもできるかも! 外国人客のガイドに必要なスキルを学ぶ」の参加者募集(終了しました)

外国人観光客や留学生、就労者の増加で、日本は今、多様な人が暮らす社会へと急速に変化しています。私たちにできるおもてなしは何か。どうコミットしたらいいのか。彼らは私たちに何を求めているのか。互いを知るため、一歩踏み出す機会としてワークショップを開催します。一緒にガイドのこつや心得を学びましょう。

◆講師

インバウンド4拡大古屋絢子さん(右)
古屋絢子さん

全国通訳案内士(英語)。東京都出身、お茶の水女子大学大学院修了。日本科学未来館、東京大学を経て2013年に全国通訳案内士試験合格。個人ウェブサイトはここから。

【通訳ガイド稼働実績】*言語は全て英語
2017年度:120日(個人ツアー110日/団体ツアー10日)
2018年度:170日(個人ツアー60日/団体ツアー110日)

◆開催日時・会場

8月3日(土)13時~16時(12時30分開場)

朝日新聞東京本社 本館2階読者ホール(地下鉄大江戸線築地市場駅すぐ上)

◆チケット代・定員

参加費2000円、定員72人(好評のため増やしました)。申し込みが定員に達した時点で締め切ります。

◆参加申し込み方法

Peatixに設けられた「論座」のイベントページから参加申し込みをお願いします(ここをクリックするとページが開きます

◆ワークショップの概要

第1部「お客さんは何を求めているのか」【講義中心】
・現役ガイドの経験からアドバイス。ガイドの心得や外国人が好むポイントとその対処法を紹介します。

第2部「異文化ギャップ 私ならこうする」【グループワーク中心】
・古屋さんが経験した異文化ギャップを例題にして、グループごとに自分ならどうするかを考え深めてもらいます。(古屋さんからのフィードバックもあります)

第3部「こんなこと質問されたら」【グループワーク中心】
・古屋さんがお客さんによく聞かれる質問を例題にして、グループごとに自分ならどうするかを考え深めてもらいます。(古屋さんからのフィードバックもあります)

※講演・ワークショップは日本語で行います。必要に応じ、英語表現を紹介します。

◆みなさんへのメッセージ

海外から日本に来る人がどういう視点で旅をしているのかを知り、日本人が当たり前だと思っていることを見直す機会になればと思います。これまで一歩を踏み出せなかった方、学生の方も大歓迎です。

◆主催

朝日新聞「論座」編集部

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

古屋絢子

古屋絢子(ふるや・あやこ) 全国通訳案内士(英語)

全国通訳案内士(英語)。東京都出身、お茶の水女子大学大学院修了。日本科学未来館、東京大学を経て2013年に全国通訳案内士試験合格。現在は1年のうち5か月以上、外国人観光客を対象としたツアーを全国各地にて実施する。さらに年間2カ月近く官公庁、自治体主催のインバウンド研修、ガイド養成講座等にて講師をつとめる。 【通訳ガイド稼働実績】*言語は全て英語 2017年度:120日 (個人ツアー 110日 / 団体ツアー10日) 2018年度:170日(個人ツアー 60日 / 団体ツアー110日) 【主な講師実績】 環境省国立公園満喫プロジェクト 人材育成支援業務(検討会委員、講師) 文化庁ミュージアムマネジメント研修(講師) 地域通訳案内士養成講座(行政主催・飛騨地域、佐渡地域、金沢市) 特例通訳案内士養成講座(行政主催・福島県) ボランティアガイド講座(埼玉県行田市、東京都江東区、新潟県長岡市) 専門学校(神田外語学院国際観光科、文京学院大学)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

古屋絢子の記事

もっと見る