山本太郎の消費税廃止、増税派の私が評価するわけ
「消費増税に賛成vs.反対」から「消費増税vs.所得税・法人税増税」へ
原真人 朝日新聞 編集委員

落選が決まった後の記者会見で笑顔を見せる山本太郎代表=2019年7月22日、東京都千代田区
消費増税を2回も実行した政権
消費税率10%への引き上げまで2カ月を切った。
長期政権になった結果のことではあるが、消費増税にもっとも不熱心な安倍政権下で2回も消費増税が実現したというのは、実に皮肉だ。歴史は安倍政権を「消費増税を2回延期した政権」としてでなく、「消費増税を2回も果断に実行した政権」として刻むのだろうか。
とはいえ、消費税の今後はまだ見通しにくいところも大きい。
世界経済には米中貿易戦争を軸に不穏な情勢が漂っており、最近は世界同時株安が起きるなど先行きに不安が広がっている。10月までに世界経済が崩れれば、この政権はためらうことなく消費増税を凍結するだろう。いちど引き上げた後に税率を戻すことだってありうると思う。
そのくらい、「長期的な財政の安定」より、「目の前の経済」を優先する政権なのである。
それにしても、なぜ消費税はこれほど嫌われてしまったのか。
ここまで国民のイメージが悪くなってしまったからには、消費増税の「一本足打法」で財政再建を進めていく財務省の戦略は、長期的にかなり厳しいと考えるほうがいいのではないだろうか。
そこに登場したのが、先の参院選で「消費税廃止」を唱え、「れいわ旋風」を起こしたれいわ新選組の山本太郎代表である。
この山本氏の大胆な提案が、今後の財政健全化を考えていくのに、一つのきっかけを与えてくれたのではないか。