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山本太郎の消費税廃止、増税派の私が評価するわけ

「消費増税に賛成vs.反対」から「消費増税vs.所得税・法人税増税」へ

原真人 朝日新聞 編集委員

拡大テレビ局のインタビューで質問に答えるれいわ新選組の山本太郎代表=2019年7月21日、東京都千代田区

「消費増税に賛成vs.反対」から「消費増税vs.所得税・法人税増税」へ

 山本氏は7月4日の参院選公示日に、東京・新宿西口の地下広場で第一声をあげた。

 雨天のもとで地下の広場を選んだのは正解だったかもしれない。小さな党の最初のステップとしては、ちょうどいい規模の演説会だった。

 ただ、山本氏が演説を始めると、聴衆がみるみる増えて、通りかかる人も足を止めた。彼の演説にはそれだけの力があった。

 「政権を取ったら必ずやりたいこと。それは消費税廃止だ」

 最初は、ああ、また一つポピュリズム政党が産声をあげたのだな、と思った。ほかの野党が「消費税反対」と言うなら、こちらは「廃止だ」とさらに過激なポピュリズムで選挙民を引きつけようという戦術かと思ったのだ。

 しかし、山本氏は意外な説明を始めた。

 「山本さん、それを止めるというのなら財源はちゃんと担保できるんでしょうね、という質問が出てくると思います。消費税を止めるのにいくらかかるか。20兆円の財源を別に用意しなきゃならない。では別に用意します。消費税導入前に戻るだけです」

 「消費税を導入されて、増税されるたびに所得税の最高税率は下がっていきました。これをやめて引き上げます。金融所得の分離課税をやめ、すべて所得税で取ります。法人税は大企業に対して、税の大割引システム、租税特別措置がある。この特別扱いをやめる。そして法人税も所得税と同じように累進税を導入する。もうかっているときには税負担が上がり、もうかっていないときには税負担が下がる」

 「この所得税、法人税の税制改革をおこなった場合、財源は29兆円担保できるという試算がある。消費税廃止で20兆円が足りなくなっても、おつりがくる」

 この山本プランはいわば「暴論」である。財務省の官僚たちが聞いたら「非現実的だ」と言うだろう。

 しかし、である。私は山本案は一考に値すると思う。

 これまで与野党の論戦といえば、「消費増税に反対か? 賛成か?」という対立軸に終始した。山本案は、これを「消費税増税vs.所得税・法人税増税」という対立軸に変えてくれる。

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筆者

原真人

原真人(はら・まこと) 朝日新聞 編集委員

1988年に朝日新聞社に入社。経済部デスク、論説委員、書評委員、朝刊の当番編集長などを経て、現在は経済分野を担当する編集委員。コラム「多事奏論」を執筆中。著書に『日本銀行「失敗の本質」』(小学館新書)、『日本「一発屋」論 バブル・成長信仰・アベノミクス』(朝日新書)、『経済ニュースの裏読み深読み』(朝日新聞出版)。共著に『失われた〈20年〉』(岩波書店)、「不安大国ニッポン」(朝日新聞出版)など。

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