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山本太郎の消費税廃止、増税派の私が評価するわけ

「消費増税に賛成vs.反対」から「消費増税vs.所得税・法人税増税」へ

原真人 朝日新聞 編集委員

拡大サンダース氏(左)オカシオコルテス氏=2018年7月、米カンザス州

山本氏は「和製サンダース」

 「消費増税反対」は楽である。負担増は誰も歓迎しないから、そう言っておいたほうが政治家としては有権者に嫌われにくい。

 しかし、消費増税を止めるかわりに他の増税で代替財源を探すとなると、こんどはその増税で割を食う人々の抵抗・反発を引き受けなければならない。そういう議論にすることで、全与野党を現実的な財政論議に引きずり込むことができるのではないだろうか。

 この点で、私は山本氏を見直した。けっして緻密なプランとは言えないが、少なくとも代替財源を政策論の俎上に乗せたことを評価するからだ。「消費増税反対」と言って、その代替財源に言及しない他の野党より、よほど建設的だ。

 ちなみに共産党も「将来的に消費税廃止をめざす」として、「大企業・富裕層優遇を改める税制改革と歳出のムダの一掃で当面17.5兆円、将来、国民のみなさんに能力に応じて負担していただくことで6兆円、経済改革による税収の自然増で10年後までに20兆円以上の財源を確保することができる」と訴えており、山本案との共通点が多い。

 盛り上がりに欠けた参院選にあって、山本氏がおこした「れいわ旋風」はまだ小さく弱いものの、意味ある風だった。

 この点では、米国のバーニー・サンダース上院議員が4年前、大統領選の民主党候補の座をヒラリー・クリントン氏と最後まで争い、ブームをおこしたときと似ている。サンダース氏は民主党のなかで左派が台頭するきっかけをつくり、そしていままた来年の大統領選をめざして闘っている。

 ちなみに「政府がいくら借金をしてもへっちゃら」というトンデモ理論の「MMT(現代金融理論)」を掲げる米民主党の有力若手政治家オカシオコルテス氏は、サンダース氏の弟子筋だが、いまのところサンダース氏自身は、MMTとは一線を引いていて、政府債務膨張へっちゃら論にはくみしていないようだ。

 山本氏は「和製サンダース」と位置づけられる立ち位置にあると言えるだろう。山本氏が掲げた最低賃金の大幅引き上げ、奨学金の徳政令などの主張も、サンダース氏の主張と共通点が多い。

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筆者

原真人

原真人(はら・まこと) 朝日新聞 編集委員

1988年に朝日新聞社に入社。経済部デスク、論説委員、書評委員、朝刊の当番編集長などを経て、現在は経済分野を担当する編集委員。コラム「多事奏論」を執筆中。著書に『日本銀行「失敗の本質」』(小学館新書)、『日本「一発屋」論 バブル・成長信仰・アベノミクス』(朝日新書)、『経済ニュースの裏読み深読み』(朝日新聞出版)。共著に『失われた〈20年〉』(岩波書店)、「不安大国ニッポン」(朝日新聞出版)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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