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世界経済の成長率が鈍化している!

中国もインドも成長に陰り。その要因は世界に広がる保護主義だ

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

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急成長のインドにも陰り

 中国が次第に成長率を下げていく中で、インドは逆に成長率を上昇させてきている。

 1980~2010年平均成長率は中国よりかなり低く6%を切っていたが、2015年には中国を抜いて8.00%(中国は2015年6.90%)とし、その後、7%~8%の成長率を維持している。

 PwCの予測によると、2016~2050年のインドの年平均成長率は4.9%と中国の3.4%をかなり上回っている。こうした高成長を継続することによって、インドは2040年前後にGDPでアメリカを抜き、2050年には中国に次ぐGDP大国になると予測されている。

 PwCによると2050年のPPPベースのGDPのトップは中国で58兆4990億米ドル、次がインドで44兆1280億ドルとされ、アメリカはインドに抜かれ3位の34兆1020億ドルとされている。ちなみに、日本はナンバー8で6兆7790億米ドルとの予測だ。

 かつては、中国とインドが世界の2大経済大国だった。イギリスの経済史の専門家、アンガス・マディソンの推計によると、1820年には中国のGDPは世界の28.7%、インドのそれは16.0%と中国とインドだけで世界のGDPのほぼ半分を占めていたのだ。(アンガス・マディソン著・金森久雄監訳、「世界経済の成長史・1820~1992年」東洋経済新報社・2000年)

 中国とインドが没落したのは19世紀半ばから、欧米によるアジアの植民地化によってだった。それが第二次世界大戦後、次々と独立し、再び世界経済の中心が次第にアジアに戻ってきたのだ。いわゆる「リオリエント現象」が起こっていったのだった。

 1979年から2008年の30年間、年平均経済成長率のトップ10はすべてアジアの国々だった。中国がトップで9.8%それにシンガポール(7.0%)、ベトナム(6.6%)。ミャンマー(6.4%)等が続いてインドはナンバー10で5.8%だった。

 そして、前述したように、インドはこのところ成長率を急速に高め、大国の中では最も高い成長率を達成するようになってきているのだ。

 しかし、そのインドもこのところ成長率を鈍化させてきている。前述したIMFの最新の「世界経済見通し」によると、2018年のインドの成長率は6.8%、2019年は7.0%と予測されているのだ。この予測は前回4月の見通しより0.3%下方修正されている。

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筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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