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消費税の「毒」が回る日本でいいのか

逆進性が消費と経済を委縮させ、格差を広げる

小此木潔 上智大学教授(政策ジャーナリズム論)、元朝日新聞論説委員


拡大2014年春、消費税が8%に引き上げられた前後には駆け込み需要とその反動が起きた=2014年3月31日、千葉市

日本経済に冷水

 消費税率10%への増税で、年5.7兆円の税収増が見込まれるが、この増税によって消費の減退、景気の悪化が懸念される。これへの対策として、政府は増税に伴う税収増をもとに、幼児教育の無償化や低所得の高齢者支援などに予算を支出することにした。さらに、ポイント還元や低所得者向け「プレミアム付き商品券」などの消費増税対策を打つ。従来の増税プランでは、増収分の8割で国債発行の圧縮を図る予定だったが、安倍首相と官邸の主導で使途を変更したという。

 そこには、教育無償化への努力を政権の実績としたいという思惑がうかがえる。また、消費税率を8%に引き上げた2014年4月の増税のあと、消費が低迷してしまったので、その轍は踏みたくないという政権の意向もありありだ。

 増税が消費や景気に及ぼす「毒」を緩和するには、こうした方策もある程度の有効性はある。しかし、安心するのは早い。その効果は時とともに薄れていくだろう。増税は本来、家計から実質的な可処分所得を奪うものだから、増収分のほとんどを消費増と格差縮小につながる歳出に充てない限り、消費の冷え込みも ・・・ログインして読む
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筆者

小此木潔

小此木潔(おこのぎ・きよし) 上智大学教授(政策ジャーナリズム論)、元朝日新聞論説委員

上智大学教授。群馬県生まれ。1975年朝日新聞入社。富山、奈良、大阪、ニューヨーク、静岡、東京で記者をしてきた。近年は日本の経済政策や世界金融危機など取材。2009年5月から東京本社論説委員室勤務、11年4月からは編集委員も務め、14年4月から現職。著書に「財政構造改革」「消費税をどうするか」(いずれも岩波新書)、「デフレ論争のABC」(岩波ブックレット)。

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