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忘れていませんか? 異業種の声だからこそ、刺激やシナジーがあるってこと。

南雲朋美 地域ビジネスプロデューサー 慶應義塾大学・首都大学東京非常勤講師

三つの軸で産地の活性化

 私は今から3年前、佐賀県嬉野市で「肥前吉田焼」(以降、吉田焼)の活性化プロジェクトに参画しました。

 「吉田焼」という焼き物のブランドは、日本でもっとも認知度がある一つの「有田焼」として扱われることもあって、認知度は佐賀県でも高くありません。

地域プロデュース5拡大吉田焼で有名な水玉模様の茶器=副千製陶所提供

 産業規模は最盛期の8分の1程度で、かつて30軒あった窯元は今7軒(2017年度の組合加盟数)にまで減ってしまいました。この状況を改善しようと、窯元の有志と私を含む東京のメンバー数人がチームを組んで、「雇用創出」「観光促進」「売り上げ拡大」という三つの軸で産地の活性化に着手しました。

 それぞれの問題に合わせた課題を設定して行動を起こし、予想以上の結果を出してきましたが、どこかに先行きの不安を感じ、「よし、これで大丈夫だ」という安心感にはなかなか至りませんでした。

同じ地域にいれば誰でも運命共同体

 プロジェクトが終盤にかかったある日、窯元会議で険悪な雰囲気になったことがありました。決められたプロジェクトの終了日が近いこともあり、スピードを上げたい私の想いと、もう十分頑張っている当事者である窯元さんの気持ちがぶつかってしまったのです。

 その日の夜、嬉野温泉街を1人でとぼとぼと歩いていたら、「やぁ、南雲さん、お元気ですか?」と仲良くなった旅館の経営者の方が声をかけてくれました。

 普段、仕事の話をすることはほとんどありませんが、何となく、その日の出来事を話してみました。すると、その方はこう言いました。

 「その場に、南雲さんの言うことを補足する人や訂正する人はいなかったのですか?」

 その時はいなかったので「いなかった」と答えると、「私がその会議にいたなら、こう言うでしょうね」と語り出しました。

 「南雲さんの言っていることは正しい」

 しばらく間をおいて、こうも言いました。

 「もしくは、南雲さんは間違っている。もしくは、南雲さんの言い方は間違っているが言っていることは正しい。こう言うでしょうね」

 要は、どちらが正しいとか、間違っている、とかではなく、自分ならそうやって、双方の発言を通訳するということでした。

 その人は旅館の経営者ですが、嬉野市全体で観光客が減ってきており、地域活性化は市全体の共通の問題という見方をしていました。そう考えると地域経済の中では窯元も旅館も運命共同体です。同じ問題を抱える同士でありながらも、異業種だからこそ異なる視点を学び合えるのではないかと思い、次回の会議に参加してもらうようにお願いしました。

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筆者

南雲朋美

南雲朋美(なぐも・ともみ) 地域ビジネスプロデューサー 慶應義塾大学・首都大学東京非常勤講師

1969年、広島県生まれ。「ヒューレット・パッカード」の日本法人で業務企画とマーケティングに携わる。34歳で退社後、慶應義塾大学総合政策学部に入学し、在学中に書いた論文「10年後の日本の広告を考える」で電通広告論文賞を受賞。卒業後は星野リゾートで広報とブランディングを約8年間担う。2014年に退職後、地域ビジネスのプロデューサーとして、有田焼の窯元の経営再生やブランディング、肥前吉田焼の産地活性化に携わる。現在は滋賀県甲賀市の特区プロジェクト委員、星野リゾートの宿泊施設のコンセプト・メイキングを担うほか、慶應義塾大学で「パブリック・リレーションズ戦略」、首都大学東京で「コンセプト・メイキング」を教える。

 

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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