山口智久(やまぐち・ともひさ) 朝日新聞オピニオン編集長代理
1970年生まれ。1994年、朝日新聞社入社。科学部、経済部、文化くらし報道部で、主に環境、技術開発、社会保障を取材。2011年以降は文化くらし報道部、経済部、特別報道部、科学医療部でデスクを務めた。2016年5月から2018年10月まで人事部採用担当部長。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
肉を食べないスウェーデンの少女とステーキを食べに行った日本の環境大臣
そういうことを考えていたら、11歳の時、うつになった。しゃべらなくなり、体重が2カ月で10キロ減った。
発達障害の一つである「アスペルガー症候群」、怖いイメージや考えが頭に浮かんで、その恐怖を打ち消すためにある行為を繰り返す「強迫性障害」、特定の場面でしか話せなくなる「場面緘黙症」と診断された。
2018年5月、地元の新聞社が主催した環境問題の作文コンテストで入賞した。作文が新聞に載ると、いくつかの環境保護団体から一緒に運動しようと誘われた。
何ができるかを話し合うなかで、グレタさんは「スクールストライキ」という運動方法に関心をもった。
その年の2月、アメリカ・フロリダ州の高校で17人が亡くなった銃乱射事件を受け、同校の生徒たちが授業をボイコットし、銃規制を求める集会を開いた。氾濫する銃によって命が危険にさらされているというのに、勉強どころではない。大人たちが子どもの命を守るという義務を果たさなければ、子どもたちだって学校に行く義務を果たせない、と訴えた。
グレタさんは、これは地球温暖化にも当てはまることに気付いた。地球の未来がむしばまれているのに、大人たちは何もしない。このまま温暖化が進んだら地球がどうなるかという科学的な予測が無視されている。大人たちが軽んじている科学を、どうして子どもたちは学校で学ばなければならないのか。大人が科学を尊重し行動を起こすまで、学校に行かずにストライキをしよう。
ところが、ほかのメンバーは「スクールストライキ」には関心を示さず、アメリカで広がりつつあった環境運動「ゼロアワー」をスウェーデンで展開しようとしていた。
そもそも社交的ではないグレタさんは、集会へ行かなくなった。両親に「スクールストライキ」がしたいと相談したら、賛同してもらえなかったという。もしやるなら、全部自分ひとりでやりなさい、と言われた。
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