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ウズベキスタンと日本の良好な関係

 中央アジアはユーラシア大陸またアジア中央部の内陸地域。東は中華民国に併合されて以降、新疆省となり、中華人民共和国に併合されて以来、新疆ウイグル自治区になった。

 他方、西はカザフスタン・キルギス(かつての正式名称はキルギスタン)、タジキスタン・トルクメニスタン・ウズベキスタンの5か国があり、しばしばファイブ・スタン等と呼ばれている。いずれも旧ソビエト連邦の共和国だったが、1991年のソ連崩壊によって、「カザフスタン共和国」、「キルギスタン共和国」、「タジキスタン共和国」、「トルクメニスタン共和国」、「ウズベキスタン共和国」として独立している。

 いずれの共和国もソ連時代からの指導者達が大統領に就任し、長期にわたって強権政治を行っている。

 ウズベキスタンでは、ソ連共産党中央委員会委員、政治局員等を歴任したイスラム・カリモフが1991年大統領に就任し、2016年まで大統領を務めている。2016年にカリモフ大統領が死去したことによって25年にわたる長期政権は終焉を迎え、2016年12月に行われた大統領選挙によってシャブカヂ・ミルズィヤエフ氏が大統領に就任している。大統領の下に首相がおかれ、2016年12月からはアブドゥッラー・アリポフ氏が首相に選出されている。かつては、副大統領がおかれていたが、1992年1月に副大統領の役職が廃止され、代わって首相職が新設されている。

 ウズベキスタンは人口3千万人と中央アジア5か国のうち最大の国であり(カザフスタンは1800万人、キルギスは590万人、タジキスタンは835万人、トルクメニスタンは520万人)、ロシア・中国・アメリカなど多くの国と友好関係を持つ全方位外交を展開している。日本とは独立後直ちに、1992年1月26日に正式に国交を樹立している。

 カリモフ大統領は3度にわたって来日し(1994年、2002年、2011年)小泉純一郎首相、橋本龍太郎首相等と会議し、良好な外交関係を樹立してきている。日本側からは2004年に川口順子外相、2006年には小泉純一郎首相がウズベキスタンを訪問している。

 ウズベキスタン特命全権大使は現在は藤山美典大使が務めているが、1999~2002年には中山恭子前参議院議員、1993~96年には孫﨑亨氏等が務めている。中山氏は日本人捕虜達が作ったといわれるナボイ劇場に1000本もの日本の桜を移植し、4月には、今でも市内の劇場・墓地等で桜が咲き誇っているという。

拡大アラル海の日の出。空がピンクに染まる=2018年5月、ウズベキスタン

筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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