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地球温暖化~人類は北へ大移動する

あと数万年続く間氷期(温暖期)、灼熱の金星が教えてくれるのは…

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

今の間氷期は6~7万年続く。熱波・高潮・食糧危機も

 10万年周期の理論から言えば、今の間氷期はすでに約2万年を経過しており、そろそろ氷期が始まってもおかしくない。そうなれば地球温暖化は氷期によって打ち消される――過去に温暖化を否定した科学者の中には、そう唱える人がいた。

 ところが、南極の氷をボーリングして調べる古気候の研究などによって、今の間氷期は2万年ではなく6~7万年続く見通しであることが分ってきた。それは①の離心率の影響が大きいが、近年のCO2濃度の上昇(下の図)で平均気温が上がり、氷期を始まりにくくしている面もあるという。

拡大北緯・南緯に関係なく地球のCO2濃度は上昇している

 温暖な間氷期がこのまま更に数万年も続き、CO2を排出する経済活動が十分な対策もないまま続けば、気温は一層上昇し、地球は確実に多種多様な災害や気候変動に見舞われる。

 国連のIPCC第5次評価報告書(2013年)が、将来の8つのリスクを示している。①海面上昇と沿岸部の高潮被害、②大都市部の洪水、③極端な気象現象によるインフラの機能停止、④熱波による脆弱な階層の死亡・疾病、⑤気温上昇・干ばつによる食糧危機、⑥水資源不足と農業生産の減少、⑦海洋生態系の破壊と損失、⑧内水生態系の損失である。

2100年には産業革命以前より7度上昇という試算

 いずれも文明社会の根底が覆るほどの脅威だが、ここでは特に深刻な気温上昇のリスクを考えてみたい。

 過去の間氷期では常に残っていた北極や南極、グリーンランドの氷は、現在すでに減少している。間氷期が長引き、地球を冷やしているこれらの氷が解けてしまえば、あとは気温上昇のピッチが上がるだけだ。

 CO2は海水中に大量に溶けているが、間氷期には盛んに大気中に放出される。サイダーに含まれるCO2が夏になるとよく泡立つのと同じ理屈だ。これで大気中のCO2濃度が上がると気温をさらに上昇させ、それがまた海からのCO2放出を促す悪循環に陥る。

 9月、フランス国立気象研究センターなどが最新の気温上昇の試算を発表した。CO2排出が現在のペースで続いた場合、2100年には産業革命以前に比べて7度(現状より約6度)も上昇するという。パリ協定の目標は上昇を1.5度に抑えることだが、同センターは「上昇ピッチは従来想定より急速で、楽観的に見ても達成は困難」という。

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筆者

木代泰之

木代泰之(きしろ・やすゆき) 経済・科学ジャーナリスト

経済・科学ジャーナリスト。東京大学工学部航空学科卒。NECで技術者として勤務の後、朝日新聞社に入社。主に経済記者として財務省、経済産業省、電力・石油、証券業界などを取材。現在は多様な業種の企業人や研究者らと組織する「イノベーション実践研究会」座長として、技術革新、経営刷新、政策展開について研究提言活動を続けている。著書に「自民党税制調査会」、「500兆円の奢り」(共著)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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