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江戸時代の日本は「小さな国」ではなかった

平和で平等なその後の日本の原形をつくった江代時代を再評価する

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

江戸は世界第2位の都市だった

 司馬遼太郎の名著「坂の上の雲」は次の一文から始めている。

 「まことに小さな国が、開化期を迎えようとしている」

 しかし、明治維新を迎えた日本は決して「小さな国」ではなかった。

 1868年、明治維新の時の日本の人口は3330万人と推計されているが、この人口はフランス(3800万人)、ドイツ(3300万人)、イギリス(3400万人)に匹敵するものだった。

 しかも1750年の江戸の都市人口は69万4000人と北京(90万人)に次ぐ世界第2の都市だったのだ(ロンドンは67万6000人、パリは55万6000人)。

 また、日本は庶民が豊かな国でもあった。歌舞伎も相撲も庶民の娯楽だった。

 アメリカの歴史家で日本を専門とするスーザン・ハンレーは「……1850年の時点で住む場所を選ばなくてはならないなら、私が裕福であるならばイギリスに、労働者階級なら日本に住みたいと思う」と述べているが、日本の庶民の生活レベル、また庶民文化の豊かさはイギリスにも勝るものだったのだ。

拡大「たけはら憧憬の路」の様子。江戸時代の風情が残る町並みを竹灯籠で照らす=2009年11月1日、広島県竹原市産業振興課提供


筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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