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日銀も金融緩和政策を打ち止める時

消費増税での内閣支持率は落ちない。1%成長に国民の不満は高くない

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

ユーロ圏の景気と物価は失速気味

 他方、ヨーロッパでは10月末にマリオ・ドラギECB総裁が退任、元国際通貨基金(IMF)専務理事のクリスティーヌ・ラガルド氏が総裁に就任している。初の女性総裁だが、欧州委員長もドイツのファン・デア・ライエン氏が就任、EUのトップに2人の女性が就任することになったのだ。また、IMFの専務理事にも世界銀行のCEOで女性のクリスティーヌ・ゲオルギ氏が就任(ブルガリア出身)することが決定されている。

 クリスティーヌ・ラガルド氏は弁護士であり、その後転身してフランス財務相等を経験した重量級の政治家。中央銀行業務の経験はないが、IMF専務理事として金融政策には精通していると考えられている。

 ECBは2019年9月12日の定例理事会で利下げや量的緩和策を含む包括的な追加金融緩和策の導入を決めている。利下げは2016年3月以来3年半ぶり。FRBに追随する形になった訳だ。

 米中貿易戦争の長期化やイギリスのEU離脱をめぐる不透明感が世界経済の先行きに暗い影を落とす中、ユーロ圏の景気と物価は失速気味。ユーロ圏をけん引するドイツは輸出の落ち込みでリセッション入りの可能性が高いため、ECBとしても金融政策による景気のてこ入れが避けられないと判断したのだった。

 ドラギ総裁は記者会見で、米中摩擦、イギリスのEU離脱に懸念を示し、「ユーロ圏経済の低迷はより長期化する恐れがある」と警戒感をあらわにしたのだった。

 ドラギ氏の後任、クリスティーヌ・ラガルド新総裁は「大胆な金融緩和姿勢が当面必要」とECBの従来からの見解に同意するとともに、「潜在的な副作用にも注視する必要がある」として政策点検にも意欲をにじませた。ECBもまた、そう遅くない時期にFRBと同様利下げを打ち止めにする可能性も少なくないのであろう。

拡大日本の各界で活躍する女性たちとの夕食会で、出席者と握手を交わすクリスティーヌ・ラガルドIMF専務理事=2012年7月6日、東京都千代田区

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筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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